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介護タクシーコラム

介護予防vol.2 運動習慣をつけてロコモティブシンドロームを予防しよう(前編)

介護・医療

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介護予防vol.1では、要介護になる大きな原因の1つは「運動器の機能低下」であり、「運動習慣をつけることが大切」であるとお伝えしました。今回は前編・後編に分けて運動についてお伝えしていきたいと思います。

ロコモティブシンドロームについて

みなさんは「ロコモティブシンドローム」という言葉を聞いたことはありますか?これは、身体を動かすために必要な筋肉や骨、関節などの運動器の機能が痛みや加齢などと共に低下してしまい、バランス能力・体力・移動能力の低下を招き、ついには歩行や食事、着替えや入浴、排泄などの日常生活動作が自力でできなくなり、要介護になるリスクが高まってしまう状態になることです。

原因は運動器自体の疾患もありますが、普段からの運動不足や生活不活発が引き金となりやすいのです。

現代人は運動不足に陥りやすい

もともと、人類は動く生活に適応するように進化してきましたが、便利な世の中になってきたことにより、身体を動かす機会が減ってきています。例えば・・・

  • エレベーターやエスカレーターの普及 ⇒ 階段を使わない
  • 電気製品の普及 ⇒ 洗濯機や掃除機など、昔は身体を使っていたが、今はほぼボタン一つでできてしまう
  • ネット注文などでの買い物 ⇒ 外出頻度が減少し、目的地まで移動して物を持って帰る、という動作が減る
  • (携帯)ゲーム機やインターネットの普及 ⇒ 座位でいる時間が増え、身体を動かして遊ぶこと自体が減る
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もちろん、今の生活を一昔前に戻すと生活が成り立ちませんが、便利さに頼りきりになっていますと確実に生活不活発に繋がります。なるべく日常生活の中で、1駅分歩く、階段を使う、などして歩く機会を増やしたり、定期的にスポーツクラブなどに通って運動することが必要になっていきます。

※ なお、電車や車、バスについては生活不活発に繋がる反面、欠かせないものになっており、外出のしやすさにも繋がるので、私個人の考えとしては必要で利用するべきと考えます。自力で公共交通機関の利用が難しい方は、介護タクシーなどを上手に利用して外出し、少しでも身体を動かすきっかけにつなげて頂けたらと思います。

運動の種類

ひと言で「運動」といってもさまざまですが、ここでは以下の運動について解説します。

  1. ストレッチ
  2. 筋力トレーニング
  3. 有酸素運動

これからそれぞれの運動の特徴を説明したいと思います。

ストレッチ

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筋肉や身体を伸ばし、柔軟性や関節の可動域をアップさせます。ストレッチには、軽く反動をつけながら複数回行う「動的ストレッチ」と、ゆっくりじんわりのばす「静的ストレッチ」があります。

動的ストレッチは身体をほぐしたり温めたりする効果が期待でき、ウォーミングアップやケガ予防、仕事の合間の気分転換などとして、静的ストレッチはリラクゼーション効果や疲労回復効果が期待でき、クールダウンや睡眠の質を高めるのに最適です。運動が苦手な方や低体力の方は、ストレッチだけでも立派な運動になります。

筋力トレーニング

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腕立て伏せやスクワットなど、部分的な筋肉に負荷をかけて鍛え、筋肉を太くし、筋力を向上させることを目的としたトレーニングです。特徴は、同じ動作を数回繰り返し、長時間続けてできるものではありません。目的にもよりますが、大体1セット10回「ややきつい」と思う負荷を2~3セットの実行がオススメです。

時々トレーニングの現場で仕事をしていると、高齢者からは「もう歳もいっているから、今更ムキムキになる気はない。だから筋トレはしない」、若い女性からは「脚が太くなりそうで嫌だ。だから筋トレはしない」というお声も聞きますが、高齢者や女性は筋線維が太くなりにくいので、「極端に太くなる」といったことは滅多にありません。

むしろ、適切な筋トレは加齢と共に衰えやすい「速筋」の低下を防ぎ、引き締まった外見にも繋がるので、ロコモティブシンドロームの予防はもちろん、健康的でカッコイイ身体作りとして最適です。

※「速筋」については、次回詳しく解説します。

有酸素運動

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ランニングやジョギング、ウォーキング、自転車、水泳など、全身を使い、比較的長時間(少なくとも10分以上)し続けることができる運動です。これらの運動は脂肪燃焼効果や持久力維持・アップ、心肺機能向上などの効果があります。なお、基本的に「やや息があがるが、笑顔で人と会話を楽しみながらできるペース」をオススメします。

また、「自分自身に合う内容で行う」ことが大切ですので、ランニングが苦手でしたらウォーキング、膝や腰が痛くて陸上での運動が苦手でしたら水中運動にする、などといった感じで、周りと比べずお好きな内容で続けられそうな種目を探してみましょう。

どの運動が良いのか?

よく、巷には「●●さえすれば良い」といった話が出回りますが、上記の3種類の運動もそれぞれ特徴も効果も違いますので、どれか一つで事足りるといったことはあり得ません。理想はどの運動も行うことですが、注意点が4つほどあります。

  1. 体力や筋力、運動経験などは個人差があります。周りと比べず、ご自分の体力と相談しながら進めていきましょう。
  2. 習慣化し続けることが非常に大切です。そのためには、ストイックになりすぎないようにしましょう。
  3. 継続が基本ですが、筋トレは毎日行うと筋肉の回復が間に合わないので、週に1~3日程度にとどめ、1回行ったら1~2日の休みを入れましょう。どうしても毎日行いたい場合は、鍛える部位を分けながら行いましょう。ストレッチと有酸素運動は毎日をオススメしますが、難しい方はご都合のつくタイミングで結構です。
  4. 体調が悪い日はお休みしましょう。

まずは身体を動かすことから!

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たまに「年寄りだから、今更運動しても無駄だと思う」というお声もききますが、そんなことはありません。年齢関係なく、運動することによって「身体機能が改善した」「体力や筋力の衰えが緩やかになる」という研究結果は数多く見受けられます。出来ることからで結構です。ぜひ運動しましょう!

また、最近では子どもや若い世代のロコモティブシンドロームも問題になっております。若いうちからこの状況ですと、高齢期に差し掛かるころには、要介護になる確率も高くなってしまいます。若い人は日々の仕事や楽しみを優先にしてしまいがちですが、ご自身の身体のケアの為、健康の為、将来の介護予防の為にも「貯筋」と思い、少しずつ運動習慣を取り入れて頂きたいと思います。

介護予防vol.3 運動習慣をつけてロコモティブシンドロームを予防しよう(後編)を読む

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著者紹介

藤田 朋子(管理栄養士・健康運動指導士)
千葉県松戸市生まれ。「将来、介護・看護を必要としない身体作りを広める」をコンセプトに、介護予防の分野で幅広い世代に向けて活動中。 高齢者指導、特定保健指導の他に母子保健や執筆など活動内容は多岐にわたる。

藤田 朋子ブログ Fトモの本音

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