ドライバーインタビュー
彩福祉タクシー 松本さん
訪問前にPCR検査を行って陰性を確認。外部との接触を避けて車で約4時間半…愛知県豊田市の彩福祉タクシー(彩株式会社)までやって来ました。今回ここまで注意して訪問したのは、介護タクシー案内所で初の同乗取材をさせていただいたからです。とても貴重な経験をさせていただきました。
目 次
開業10年で5台体制まで拡大
介護タクシーを始めたきっかけはお父様の介護ということですが、移動サービスの必要性を感じて始められたのでしょうか?
2005年に父が脳出血で車いす生活になり、2018年まで介護をしていました。最初の頃は豊田市内に介護タクシーが2社しかありませんでした。当時は准看護師として病院勤務をしていたので、介護との両立は大変でしたね。
それから6年後の2011年に介護タクシーを始められたのですね。
はい。東京の介護タクシーで勉強させてもらって、個人で1台からスタートしました(2014年に法人化)。そのうち車両が2台、3台と増えていって、10年経って気が付いたら5台になってました(笑)地域の方からの需要もあって、一緒に働くメンバーもいてくれたので、ここまで来ることができました。
看護師のいる介護タクシー
5台体制になるまで、いろいろとご苦労もあったかと思います。地域の皆さんにどうやって彩福祉タクシーをPRしたのでしょうか?
看護師のいる介護タクシー、どんな搬送も行う、24時間対応している、という点ですね。病院のメディカルソーシャルワーカーさんや居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんにチラシやパンフレットを渡したり、処方箋薬局にパンフレットを置いてもらったり、開業当初は慣れない営業を頑張りました(笑)
看護師のいる介護タクシー、松本さんのことですよね?
はい。2019年に今の仕事をしながら正看護師の資格を取得して訪問看護ステーションを開設しました。これで訪問看護と介護移送の両方をワンストップで受けることができるという強みができました。さらに今年4月1日からヘルパーステーションも開業します。
ここでインタビューは一旦中断、今回は特別に松本さんへお願いして、お客様の了承のもと病院から自宅への送迎に同乗させてもらいました。透析帰りのお客様でしたが、車内で少しだけお話を伺うことができました。松本さん、貴重な経験を有難うございました。
気遣いと安全運行が利用客との信頼関係を作る
お客様が「社長(松本さん)に任せておけば大丈夫」とおっしゃっていたのが印象的でした。あとご自宅入口の階段をアッという間に上がって行ったのには驚きました。
もちろんプロですから(笑)この方は週3回、透析の送迎を担当しています。特に帰りは透析後の状態を確認しながら運転しています。彩福祉タクシーでは運行中でもお客様の様子が確認できるように車内モニターを装備しています。
車内モニターはいいですね。その他に心がけていることはありますか?
車いすで乗車する方を前寄り(2列目部分)に固定することですね。最後列だとタイヤの上でバウンドして、揺れを感じやすくなってしまうんです。あと万が一追突事故にあった時、最後列よりも負傷するリスクが大きく軽減するので、乗車位置には気を配っています。
夜間対応や長距離搬送、当たり前の対応が喜ばれている
細かな気遣いが素晴らしいですね。お客様と信頼関係が生まれるのも頷けます。
救急車帰りの夜間対応や長距離搬送の対応、1名でも対応できるように資器材を充実させるなど、当たり前のことを普通にやっているだけなのですが、「助かっている」と皆さんに感謝していただけることがとても嬉しいんです。
長距離搬送はどのあたりまで行かれるのですか?
東京くらいまでですかね。基本的には私たちが目的地までお送りしていますが、状況に応じて新幹線の多目的室などを使って移動して、到着駅からは地域の同業者に搬送をお願いすることもあります。
山間部の移動困難者にサービスを提供したい
現在は5台体制ということですが、今後台数を増やしていく予定はありますか?
今のところ予定していませんが、市街地の運行をスタッフに任せられるようになったら、細い山道でも走れる4WDの軽自動車で、足助(あすけ)・稲武(いなぶ)・旭・下山地区などの山間部で移動困難者のサポートをしたいと思っています。
目標は一人に手厚く対応できる有料老人ホームの運営
とても良い取り組みですね。現在介護と看護、2つのサービスを行っている彩株式会社としてのビジョンも教えてください。
有料老人ホームの運営です。介護と看護をセットで、一人のお客様に手厚く対応できる施設を作りたいと思っています。そのために今、私は大学生をやってます(笑)ホームの運営に必要な生活相談員(ソーシャルワーカー)になるために、社会福祉士の資格取得を目指しています。
これまで自分が経験したことを活かして「親を入居させるならこういう施設がいい」というホームを作りたいですね。
今日は有難うございました。最後に彩福祉タクシーの利用を検討されている方へひとことお願いします。
介護タクシーは料金が高いというイメージを持たれていますが、車いすやストレッチャーに乗ったままの移動ができて、ベッドからベッドへの介助も行うので、それほど高い乗り物ではありません。何よりも介護の資格を持ったケアドライバーが対応するので安心です。必要な方にぜひご利用いただきたいです。
好きな言葉は「やればできる!」仕事をしながら正看護師の資格を取り、今は社会福祉士にチャレンジしている松本さんには頭が下がる思いです。山間部の移動サービス、そして有料老人ホームの運営。一歩ずつ着実に前に進んでいる松本さんの言葉には、大きなパワーが詰まっていました。