福祉タクシー券ってなあに?

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在宅で重度の障がいを持つ方で、一定の基準を満たす方に各地方自治体から交付される福祉タクシーの利用券(補助券)です。福祉タクシー券の名称、利用基準、申請方法など自治体により異なりますので、お住まいの地域の役所へ確認をしてみてください。

おもな交付条件

  • 身体障害者手帳(1級・2級)を持っている方。
  • 療育手帳(愛の手帳)がA1(1度)・A2(2度)

※詳細は自治体によって異なります。

福祉タクシー券の内容

福祉タクシー利用券(補助券)は地方自治体によってその内容は異なります。これが福祉タクシー券の利用を複雑にする理由でもあるのではないでしょうか。場合によっては事業者も使用方法を把握していないこともあるので大変です。そのおもな内容をご紹介します。

横浜市の福祉タクシー券

福祉タクシー券(横浜移動サービス協議会HPより)

いくつかの移動に関する助成から選択

福祉タクシー券のほかにバスや電車などの利用が無料または割引となる「福祉乗車証」、自家用車のガソリン代を助成する「福祉自動車燃料助成券(燃料券)」から1つのサービスを選択します。助成内容、金額は障がいの程度によって異なり、期限は1年間になります。またNPO法人などによる福祉有償運送にも利用できます。

自治体と契約している事業者のみ利用可能

福祉タクシー券は各自治体が契約しているタクシー事業者のみ利用が可能です。契約タクシー会社は自治体のホームページに掲載されていますが、自治体によっては窓口に問い合わせる必要があります。利用するには対応事業者を探すというところからスタートなんですね。

リフト付き福祉タクシー利用券と一般の福祉タクシー利用券がある

ワゴンタイプでリフト機能が備わっているタクシーを利用する場合の福祉タクシー券と、その他のタクシーを利用する場合の福祉タクシー券の内容が異なる自治体もあります。自治体が契約しているリフト付きタクシー事業者であれば予約料、送迎料、ストレッチャー等の使用料が助成されます。(※自治体により異なります。)

福祉タクシー券がない自治体もある

自治体によっては福祉タクシー券(補助券)の助成制度がないところもあります。例えば東京都葛飾区は「心身障碍者福祉手当」としてタクシー利用の助成相当分の手当てを現金で支給しています。また沖縄県では沖縄県社会福祉協議会の主導で在宅福祉助成事業で在宅福祉移送サービスを推進しているので、福祉タクシー券の助成制度がありません。

利用に関して分かりづらい面も多い福祉タクシー券ですが、全国各自治体の障がい者へのタクシー利用助成を調べみると、意外なサービスが見つかるかもしれません。

障害者福祉におけるタクシー利用の課題

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障がいのある方への移動支援サービスは、タクシー利用に限らず分かりにくく、サービスを受ける側、提供するタクシー事業者側の手続きも複雑です。もっと使いやすいサービスにするにはどうすればよいでしょうか。

サービスの内容を一元化する

平成18年に制定された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」、いわゆるバリアフリー法によって、高齢者だけでなく障がい者も移動がしやすいインフラ整備が求められています。自治体の垣根を超えた広域の移動にも活用できる、分かりやすいサービスが必要です。

告知を積極的に

行政は障がいのある方が利用できる助成事業を広く告知する必要があるのではないでしょうか。受けることのできるサービスを知らずに生活している方も少なくないと思います。もっと気軽にお出かけできる人が増えてほしいですね。

不正受給・利用を防ぐ

助成金、補助金など、国や自治体から支給されるお金やサービスの不正受給の防止は大切な問題です。福祉タクシー券(補助券)は転売や換金はできません。福祉タクシー券を利用する方も、移送を引き受けるタクシー事業者にもモラルが問われています。

障害者割引の事業者負担を見直す

障害者手帳、療育手帳を提示するとタクシー料金が1割引になるサービスは全国で受けられます。この割引した1割分の運賃、実は事業者が負担をしているのです。個人事業主や小規模事業者にとっては大きな負担になります。不正な割引が起きないようにすることを前提に、事業規模に応じた行政の支援などがあれば良いと思うのですが…。


福祉タクシー券について記事にしようと気軽に(?)思っていたら大間違いでした。各市・区で内容が微妙に異なり、引っ越しなどしたらまた手続き大変なのだろうな、としみじみ思ってしまいました。福祉タクシー券利用ができる契約をしている介護タクシー事業者は多く、サービスを利用できるのですが、意外に知られていないのが現状のようです。