ドライバーインタビュー
福祉の唐車 介護タクシー和 小林さん
クリスマスが近い12月の夕暮れ時、千葉市内にある千葉ポートタワーで福祉の唐車 介護タクシー和(なごみ)代表の小林さんと待ち合わせ。いい年した男2人がタワーの展望レストランでお茶しながらインタビュー…というかほとんどココに書けない話ばかりでした(苦笑)
目 次
お客様だった先輩事業者に誘われて…
某カー用品店で19年間お仕事されていて、退職する時は店長だったというお話ですが、なぜ介護タクシーに転職されたのですか?
車やバイクが大好きだったのでずっと自動車業界で働いていたんですが、もう少し自由な時間が欲しいな…と転職を考えていたところ、当時勤めていたお店のお客さんだった介護タクシーの先輩事業者に開業を勧められて開業したんです。
めずらしいケースですね。実際介護タクシーを始めてみてどうでした?
開業前から先輩事業者が加盟しているアイラスグループの会議に出させてもらったり、クルマにも乗せてもらったりして、仕事のイメージはバッチリできてました。昔からお年寄りに頼られるタイプだったので仕事は自分にすごく合ってます。あと前職に比べて精神的にかなり楽になったのが大きいですね。
頼られることに凄くやりがいを感じる
和(なごみ)のセールスポイントを教えてください。
うーん…寄り添えることかな。困っている人を助けたいという気持ちは以前からあったのですが、いまの仕事をするようになって、ますますそう思うようになりました。お客さんと自然に仲良くなって、時間ができると何でもない時に「近くに来たから顔見にきたよ」なんて言って様子を見に行ったりしています。
えぇ!?そういうサービスもあるんですか?
サービスじゃないですよ(笑)ただ一人暮らしとかでちょっと様子を見ておいた方がいいかな、と気になる方のところにはできるだけ足を運ぶようにしています。そうするとお困りごとなどの相談も聞きやすいですからね。お客さんから頼られることに凄くやりがいを感じているんです。
自分で考えて工夫することで自信につながる
クルマがすごくキレイですよね。内装とかも手が込んでいて。
あれは自己満足です(笑)自分がやりやすいように、安全に営業できるように考えてやっているだけです。もっと大事なのは介護技術や接客のほうで、どうやったら痛みが少なくなるのか、どういう言葉をかければお客さんが元気になってくれるのか、自分なりに一生懸命考えて工夫しています。
それが上手くいくと自信になって、もっと頑張ろうっていう気持ちになるんです。工夫するという点では、所属しているアイラスの仲間から教わる事がすごく大きくて、開業から短い期間でこれだけのことを吸収できたのもアイラスに入ったおかげだと思っています。
制服に着替えるとスイッチが入る
利用されるのはやはり通院がメインでしょうか?
ですね。うちはお年寄りだけでなく知的障がいの方や視覚障害の方、呼吸器装着の方など幅広いお客さんの通院を担当してます。制服(スクラブ)を着て仕事モードになるとスイッチが入るみたいで、困っている人を見るとつい声をかけちゃうんですよね。今までそんなことはなかったんですが…。
営業につながるからOKじゃないですか(笑)
そうだといいんですけどね(笑)院内で困っている外国人の方に「何科に行きたいの?」とか話しかけたりして。病院内のいろんなところに出没するので看護師さんに「小林さん、ここにも来るんですね」と驚かれれたりします…。介護タクシーを始めてから、手助けが必要な方には親切にしたいという気持ちが強くなりましたね。
もっと良い介護タクシーグループになって欲しい
お話を聞いていると色々な意味でアイラスグループが小林さんに良い影響を与えてますよね。
ホントそう思います。開業当初からコールセンターと先輩事業者から仕事の依頼があって、自分が予約で埋まっているときは仲間の事業者にお願いできる関係ができているので。長いお付き合いのお客さんは「小林くんが紹介してくれる介護タクシーならどこでもいいよ」と信頼されているので、会議や勉強会で一緒のメンバーを紹介できるのはすごく安心なんです。
自分が仲間の事業者から仕事の依頼を受ける時は、依頼元に迷惑をかけないようにしっかりと仕事をしなきゃと思ってやっています。いまは介護タクシーが増えてきていますが、アイラスグループにはもっともっと良い介護タクシーグループになって欲しいと思うし、そのために自分も頑張ろうと思っています。
お互いが信頼し合える家族のような関係になりたい
お客様とのエピソードを紹介してもらえますか?
末期がんの方の話ですが、娘さんからの依頼で点滴をしながらのストレッチャー移動という内容でした。ご自宅の作りも複雑だったので、下見と打ち合わせをキッチリ済ませて無事送迎を終えて、次の予約もいただいて帰ったその日の夕方にその方が亡くなられたんです…。かなりショックでした。
そうですよね…送迎した時はお元気だったのですよね…。
自分を気に入っていただけたようで、娘さんに「小林さんに有り難う、次もよろしくね。って伝えておいて」と言っていたそうです。娘さんから亡くなられたことを聞いて、後日お線香をあげに行きました。
介護タクシーは人の最期を経験することが多い仕事です。だからこそ自分が関わって触れ合った方が亡くなられた時は、必ずお墓にお線香をあげに行くようにしてるんです。お客さんとはお互いが信頼し合える家族のような関係でいたいので。
では最後に福祉の唐車 介護タクシー和の利用を検討されている方へひとことお願いします。
介護タクシーってすごくケアドライバーとの相性があると思うんです。だからまず一度使ってみてもらいたいです。そこで気に入ってまた使ってもらえると嬉しいです。ちなみに自分はどんなお客様でも気に入ってもらえる自信があります(笑)
今日は長い時間有難うございました。
脱線し放題のインタビューもタワーの閉館時間で強制終了に…クリスマスツリーのライトアップがキレイでした。そのとき1階の広場で転んで倒れていたおばあさんを見つけて、すぐに駆け寄っていった小林さん。「大丈夫?自分で立てる?」と話しかけてゆっくり起こしてあげていました。本当に困った人を放っておけない人なんですね。
小林さんの好きな言葉は「うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる」相田みつをさんの言葉です。小林さんはこの言葉を地で行っている人なんだなぁ…と思わせる一幕でした。