ドライバーインタビュー
宮園自動車 杉並営業所 鈴木さん
東京の大手無線グループ、東京無線に加盟している宮園自動車 杉並営業所におじゃましました。グループで福祉輸送に力を入れている同社は、発売されたばかり(取材当時)のJPN TAXIを4台、NV200を7台、計11台を保有するタクシー会社です。今回は杉並営業所の鈴木所長にUDタクシーについてお話を伺いました。
UDタクシー普及の中心的タクシー会社
宮園自動車はUDタクシーの導入にかなり力を入れていますよね。
福祉輸送に力を注いできた当社の社長が東タク協(一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会)のUDタクシー普及担当ということもあり、率先して導入しています。現在は11台ですが、年内にJPN TAXIをさらに5台追加する予定です(2017年11月取材当時)、2018年中には30台、2020年までに80~90台体制にする計画です。
すごいペースですね!半分以上がUDタクシーになるということですか。
はい。乗務に必要なユニバーサルドライバーの資格保有者も現在380名、もうすぐ乗務員全員がユニバーサルドライバーになる予定です。ユニバーサルドライバー研修ではお客様の理解と接遇・介助の留意点や車いすの扱い方、乗降介助について学んでいます。
お客様の状態に合わせてUDタクシー2車種を使い分ける
宮園自動車のUDタクシーのセールスポイントは?
当社は福祉輸送のパイオニアとしてタクシー以外にも福祉バスも多く保有しています。福祉輸送に強いという点が一番のポイントですね。必要としている方のために、可能な限りご要望にお応えしています。あとは荷物がたくさん積めることと、料金が一般タクシーと同じというところですかね。
車いす利用の方は多いのでしょうか?
それほど多くはないです。1日の勤務で1台につき予約が1・2件程度ですね。車いすの方の予約にはなるべくNV200の車両を配車するようにしています。スロープの出し入れ、乗降スペースの確保を考えるとNV200の方が安心なので。あとは重量のある電動車いすやリクライニング車いすにもある程度対応できるのもNV200の特徴です。
JPN TAXIでは車いすは難しいと?
もちろん、JPN TAXIも車いすのまま乗車できる仕様になっていますが、スロープの設置に15分~30分ほどかかってしまいます。また車体の横からスロープが出るので、左横に約2mのスペースが必要になります。病院の車寄せなど広いスペースがある場所は良いのですが、お送りするご自宅などにそのスペースがあるとも限りません。
・・・ですよね。でもJPN TAXIはシート高が低いので足腰の弱い方の乗り降りは楽だと思いますが、その点はどうでしょうか?
そうなんです。よじ登るような感覚のNV200と違って腰を落とすように乗車できるので、杖やシルバーカー(押し車)を利用している立位可能で歩行困難な方には喜ばれています。車いすから降りて乗車する場合も楽ですね。天井も高いですし掴まるグリップも多いです。ですから現状はお客様の状態に合わせてご案内する車両を使い分けています。
病院への乗入れや定期配車で利便性を向上
UDタクシーは普段どのあたりを営業しているのでしょうか?
NV200は病院のタクシー乗り場に待機していることが多いです。中野の東京警察病院や広尾の日本赤十字医療センターは東京無線が専用で乗入れできるので、退院、通院帰りの方にご利用いただいています。それ以外で予約がない時は一般のタクシーと同じように流し営業をしています。
定期配車サービスがあるんですよね。
車いすの方やご高齢の方、乳幼児をお連れの方など誰でも事前の手続きでUDタクシーをご指定の時間、場所にご連絡なく 定期的にお迎えに上がる配車サービスを行なっています。通院や通勤、通学でぜひご利用いただきたいです。
最後に利用を検討されている方へメッセージをお願いします。
宮園自動車では「やさしさをすべての方に」をコンセプトにUDタクシーを運行しています。NV200は東京無線カラーで、JPN TAXIは東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムを車体に貼った濃藍(こいあい)の車体色で営業しています。誰もが便利に利用できる、移動空間のバリアフリーを実現したタクシーです。みなさまのご利用をお待ちしております。
UDタクシー2車種の車両特性を細かく把握してお客様に最適なサービスを提供する。現場の声と自らの経験をもとに的確な対応をしている鈴木所長のお話はとても勉強になりました。良い車両、便利な機能も利用する人にマッチするものでなければならないし、それを案内できる「人」によるサービスが不可欠なのだと感じました。