ドライバーインタビュー
介護タクシーめぐり 花城さん
「沖縄の魅力は何といっても青い海、青い空、白い砂浜ですよね。」と紹介動画で優しく語りかける男性。介護タクシーめぐりを運営する沖縄県国頭郡金武町の合同会社めぐり、代表の花城さんにお会いしてきました。以前から花城さんの書いているブログを拝見していたので、インタビューをとても楽しみにしていました。
那覇市内から沖縄市まで車で向かい、コザのマクドナルドで待ち合わせ。花城さんの待機時間中にお話を伺いました。
目 次
お兄さんが始めた介護タクシーを引き継いで
介護タクシーのドライバーになったきっかけは?
平成18年(2006年)に兄が始めた介護タクシーのドライバーとして働き始めたのがきっかけです。しばらくは兄弟で営業していたのですが、2014年に兄から事業を引き継いで自分が代表になりました。
お兄さんが介護タクシーを始めたのがきっかけだったんですね。ちなみにその前はどんなお仕事をされていたのですか?
介護タクシーのドライバーになる前は工場で勤めたり、造園業をやっていたり、期間工としていろいろな仕事をしていました。介護タクシードライバー歴は10年以上になるので自分に合っている仕事だと思っています。
バリアフリー情報は必ず現地で自分が取材する
介護タクシーめぐりのセールスポイントを教えてください。
沖縄バリアフリー観光のリサーチ、取材、情報収集に特化しているところです。体の不自由な方やご高齢の方が何を悩んで、何が不安で観光に出かけられないのか。それを考えながら必ず現地に行き、自分の目で見て、感じるようにしています。
それすごく分かります!自分が案内するのだから自分で見ておきたいということですよね?
インターネットのバリアフリー情報をもとにお客様をご案内すると、どうしてもその場所を取材した方と視点の違いを感じてしまいます。やっぱり案内する事業者に紐づいた情報が必要だと思います。
なるほど。バリアフリー情報を提供するからには自分で責任を持って案内できるように取材をする、ということですね。やはり観光利用のお客様が多いのでしょうか?
そうですね。主に車いすユーザーを中心に障がい者、要支援、要介護の方に利用してもらっています。また視覚障がい、聴覚障がいの方にも安心してご利用いただけるような工夫もしています。
例えば、発語が厳しい聴覚障がい者の方が沖縄観光の宿泊ホテルでの予約手続きが出来ない(メールで問い合わせるも返答無し・電話連絡が難しい)と、弊社に問合せ頂き、障がい者とホテル側の間を取り持って予約成立へ繋げた実績がございます(笑)。
また、全盲の視覚障がい者がドルフィン体験を希望されており、その観光施設内の付き添い介助の対応も可能か?という問い合わせもいただきました。もちろん対応可能です。
全ての障がい者がお一人でも観光や旅行を楽しんで貰う為に提供できる事とは何か?を常に考えております。また観光以外では通院、入退院、買い物や冠婚葬祭などでご利用いただいています。
おすすめのマリンアクティビティ
利用者に便利で快適に使っていただけるように工夫をされていることはありますか?
さっきのセールスポイントにもなってしまうのですが、沖縄観光を「見る」だけでなく「体験」してもらいたいという思いから、ダイビングインストラクターなどと連携してマリンアクティビティのご案内をしています。
どんなアクティビティですか?
沖縄の方が開発した「チェアボート」という海にそのまま入れる特殊車いすだったり、車いすユーザーや障がい者も体験できるパラグライダーなどをご用意しています。もちろん、体験するビーチのバリアフリー情報もしっかりリサーチしています。
どうやって問いかけて本当のニーズを引きだすかが一番大切
介護タクシーめぐりは観光に特化して様々な取り組みをされていますが、利用者とのエピソードで特に印象に残っていることを教えてもらえますか?
3月のビーチでの出来事です。電動車いすで沖縄観光をしていたお客様が、海を見つめながら砂浜に手を伸ばし、サンゴの欠片を手に取ってそっとポケットに忍ばせたんです。僕はその様子を見て、この方は心のどこかで海に入ってみたいと思っているんじゃないか、と思いました。車いすから海までの距離、健常者にとっては何でもない距離が車いすユーザーにとっては、とてつもなく遠く感じるのではないかと・・・。
お客様は海に入ってみたいけれど行くことができないと思っていると?
はい。海水浴してみたいけれど気を使わせるくらいなら遠慮する。でも少しくらいなら入ってみたい気持ちもある。そう思っているかもしれません、そしてこれは僕のエゴなのかもしれません。どうしたらお客様から本音のニーズを聴きだせるか、何時もその事を考えています。
きっとそれが一番大切なことなのだと思います。ですから観光予約を承る段階から、お客様と一緒に旅を創ること、その共創プランニングに注力しています。
外出したいという気持ちさえあれば自信をもってご案内できる
最後に利用を検討している方へメッセージをお願いします。
関係者の尽力により沖縄のバリアフリー環境は整ってきています。しかし、ユーザー目線でない設備(段差・手すり配置・トイレ入浴環境など)も多く見受けられます。これをより良い形に仕上げていく為には「お客様が実際に利用して感じた活きた声」を世に発信し続ける事が、不便な環境改善と認識不足な健常者らの啓蒙に繋がると思います。お客様、どうぞ、その一歩を踏み出してください。そのお手伝いを介護タクシーめぐりに是非お任せください。
何より、沖縄観光を一緒に楽しみましょう!!
お客様の本当のニーズを引き出すこと。誰かに手伝ってもらわなければならない利用者にとって「そこまでしてもらうのは申し訳ない」という気持ちが少なからずあるものです。でもそれではお出かけに本当の満足はありません。
介護タクシーめぐりの名刺には「障がい者・高齢者の外出のワガママ 叶えます」と書いてあります。もしかしたらワガママを言ってもらうくらいの方が、本当のニーズを引き出せるのかも知れない。そう考えさせられたインタビューでした。