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ドライバーインタビュー

【経営者インタビュー】東宝タクシー 大野さん

神奈川県 横浜市

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神奈川県横浜市鶴見区で昭和28年(1953年)から営業している鶴見を代表する老舗タクシー会社、東宝タクシーにおじゃましました。代表取締役社長の大野さんに地域交通におけるタクシーの役割、そこで活躍するUDタクシーについてお話を伺いました。

誰でも利用できるのが本来のタクシー

2012年にいち早くUDタクシーを導入された経緯を教えてください。

ひとことで言うと必然ですね。東宝タクシーは昭和28年から鶴見地区を中心に地域の皆さまにご利用いただいています。本来タクシーとは誰でも利用できる交通機関であるべきで、UDタクシーの登場までは設備の問題でお年寄りや体の不自由な方は、場合によって福祉・介護タクシーなど別の手段を選ぶしかなかったのです。

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東宝タクシー社屋
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1975年頃の東宝タクシー

しかも車いすのまま乗車できる設備を持った福祉・介護タクシーの数が少なく、移動にお困りの方がこの地域にもたくさんいらっしゃいました。実際今でも台数が足りないんです。ですから当社がUDタクシーを導入したのは地域に根差すタクシー会社として必然だったのです。

確かに台数不足は問題ですね…。現在UDタクシーは何台導入されているんでしょうか?

最初にNV200を1台導入してから現在までで7台、NV200が6台でJPN TAXIが1台です。鶴見でUDタクシーを導入しているのは当社だけです(取材当時)。当社では車いすのまま乗車できるタクシーには目印に青いラインを入れています。

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NV200
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JPN TAXI

UDタクシーを指定した予約も可能、電話受付時には細かくヒアリング

利用者はどのような方が多いのでしょうか?

通院利用の方が多いと思います。でも福祉限定のように100%予約で受けているわけではないので、利用用途の詳細や車いす利用の方の割合などは正確には把握できていませんね。

そうですよね。ではUDタクシーを利用する車いすの方や体の不自由な方に便利で快適に使っていただけるような工夫はされていますか?

まず予約の電話受付時にお客様の状況とご要望をできるだけ細かくヒアリングするように心がけています。UDタクシーを所有していても予約対応していないタクシー会社もありますからね。あとはユニバーサルドライバー研修などを通じてお客様への対応を勉強しています。

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車いすの取り扱い勉強会

当社ではユニバーサルドライバーをはじめヘルパーなど介護福祉に関連する資格を持つ乗務員が全体の30%ほどおりますので、お客様に安心してご利用いただいています。

Qタクで地域の皆さまのお困りごとを解決

UDタクシーは介助者が同乗する場合、介助料がかからないUDタクシーを希望される方も多いと思いますが。

はい。一般的に介護タクシーよりUDタクシーの方が料金が安いと言われています。確かにその通りですが、乗降介助などにどうしても時間がかかってしまうUDタクシーは、通常の運賃・料金だけでは対応するドライバーの生産性向上という面で苦しいです。サービスに対してというより時間に対して対価をいただくことは今後検討していきたいです。

また介護タクシーの料金体系も分かりづらく、お客様にとって利用しづらくなっているのも原因の一つだと思います。

東宝タクシーは神奈川県生活支援ネットワーク協同組合に加盟して「Qタク」という救援事業を展開していますので、付き添いなどにも対応しています。(15分1,000円、事前の会員登録が必要です)

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付添のらくだコースと代行のつばめコース

UDタクシーという言葉自体がUDではない!?

その他に地域交通の利便性向上について、東宝タクシーとして取り組んでいることを教えてください。

全国子育てタクシー協会に加盟して、お子様や保護者の方、妊娠中の方のお出かけをサポートしています。また、こちらは神奈川県タクシー協会横浜支部としての取り組みですが、特別支援学校の生徒の送迎も行っています。移動でお困りの方のお力になれるよう、市民団体や福祉有償運送団体などと連携して活動しています。

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全国子育てタクシーHP

いろいろな事業で東宝タクシーのUDタクシーが活躍しているということですね。

そうですね。UDタクシーに限らず、タクシーができるとこを考え、実践しています。あと、そもそも「UDタクシー」という言葉って業界ジャルゴン(専門用語)で、利用者に分かりにくいんですよね。この言葉自体がユニバーサルデザインじゃないと思うんです。

UDタクシーがUDじゃないということですか!?

ええ。「タクベル」(2018年4月19日リリース・2018年12月MOVに、2020年9月GOに名称変更)という配車アプリの開発過程で、車種指定の「UDタクシーを呼ぶ」という機能を検討している際に、開発会社から「UDタクシーという呼び方は全然利用者目線じゃないですよね。」と言われてハッと気づいたんです。結果的に「車いすのまま乗る」という項目に変更することにしました。

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AIを活用したタクシー配車アプリ「タクベル」

なんだか驚きのお話ですが、言われてみれば確かにそうですね。

UDタクシーは国が認定する車種のことで、お客様にとっては車いすのまま乗車できるタクシーだったらUDだろうとなかろうと関係ないんです。今さらながらそこに気が付きました。

元気で健康なドライバーがお迎えします!

最後に東宝タクシーのUDタクシーをこれから利用される方へひとことお願いします。

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健康経営で社員みんなが元気に!

東宝タクシーは「健康なくして安全なし」という言葉の通り、まず社員の健康から大切にする経営をしています。UDタクシーはお年寄りやお身体の不自由な方にとって必要なタクシーです。元気で健康な当社のドライバーがしっかりとお手伝いします。運賃も普通のタクシーと同じ、1週間前から予約も可能なので、ぜひご利用ください。


大野社長は鶴見の街を起点に地域交通全体のことを広い視野で見つめ、分析・研究をして問題点を洗い出し、解決に向けて精力的に活動している素晴らしい方でした。

勉強させていただいたことはたくさんあるのですが、特に介助料など運賃以外の料金について、過当競争が激しくなるとお客様にとって分かりにくくなり、さらに事業者は疲弊してサービスの質が低下する。これでは全くお客様のためにならない。という指摘はまさにその通りで、あらためて考えさせられました。

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東宝タクシー株式会社

代表取締役社長 大野 慶太
神奈川県横浜市出身。大学卒業後、飲料メーカー勤務を経て祖父が創業した東宝タクシーへ入社。代表取締役社長となる。移動に関わるさまざまな事業で地域社会に貢献している。(一社)全国子育てタクシー協会会長。

東宝タクシー株式会社 情報ページ