ドライバーインタビュー
介護タクシーオレンジ 杉澤さん
4月初旬、まだ肌寒い頃でした。宮城県仙台市にある、合同会社サポートサービスオレンジを訪問してきました。救急隊員、救急救命士の仕事から介護タクシー事業者に転身した代表の杉澤さんにいろいろとお話を伺いました。
2020.12.05追記
介護タクシーオレンジ(サービスサポートオレンジ)は車両を取材当時のフリードからNV200へ代替をしました。記事は取材当時の内容になります。
交通弱者の生活をサポートしたい
救急隊員として25年のキャリアがあった杉澤さんが、なぜ介護タクシーを始めようと思ったのですか?
救急隊員の仕事は、ケガや病気の人を病院に運ぶだけで、当然その後のフォローは行いません。もちろん救急隊員は人命にかかわる大切な仕事ですが、私の中で交通弱者の生活をサポートしていきたいという思いが強くなり、長年勤めてきた仙台市消防局を退職して介護タクシーを始めることを決めました。
介護タクシーは救急救命士としての経験を十分に活かせる仕事ですね。
そうですね。民間救急(患者等搬送事業者)の認定も受けていますので、時々ですがケガされた方からの依頼もあり救急に似たような搬送になることもあります。救急隊員、救急救命士、消防士の経験技術をフルに活かして、限りある器材を有効に活用した活動を行っています。
経験豊富なスタッフが揃う
介護タクシーオレンジのセールスポイントを3つあげてください。
まず1点は救急救命士、看護師、介護士などより専門的な資格を持っているスタッフが揃っていることです。その中でも女性スタッフが3名在籍しているので女性のお客様にも安心してご利用いただけます。次に車いすやストレッチャー等の搬送資器材が無料ということ、3つめは私の救急救命の現場経験ですね。
2台の車両にここまでのスタッフが揃っている介護タクシーは珍しいですね。利用者はどのような方が多いのですか?
転院・通院・通所がメインで、車いすの方が全体の6割、ストレッチャーが4割程度です。特に長距離の転院などはご家族も病院も安心して私たちに任せてくれています。反対に買い物などの日常生活での利用率は10%以下ですね。
良いと思ったことはすぐに取り組んでみる
利用者に便利で快適に使っていただけるように工夫をされていることはありますか?
東北という土地柄、寒さ対策には気を配っています。服を脱いだり来たりするのが大変な方がほとんどなので、各車両に携帯用のブランケット(掛け布団)を用意しています。あとは音楽ですかね。美空ひばりや石原裕次郎の曲をかけるとお年寄りはみなさん喜んでくれるんです。
キャラバン(大型車)には手作りの器具などいろいろな物が置いてありますよね。
販売されているものは使いづらかったり余計な機能がついて高額になってしまう場合があるので、簡単なものであれば使いやすいように自分で作っています。とにかく、良いと思ったことは何でも取り組んでみることを心がけています。
ボウサイ仮面で防災教育
話は変わりますが、防災教育のボランティアをされているんですよね?
ボウサイ仮面ですね(笑)。仙台市太白区区民協働まちづくり事業の一環で、防災の大切さを発信する活動をしています。防災教育のステージイベントで「ぼうさいダンス」や「ボウサイ仮面のうた」を披露しています。
必要なことを楽しみながら覚えられる、面白い取り組みですね。
私たちは東日本大震災という大規模災害で、防災の大切さを身をもって体験しました。自分の身は自分で守れるように、救急隊員として培った経験と知識を伝えていくボウサイ仮面の活動はこれからも続けていきたいと思っています。
丁寧な搬送を低料金で
最後に利用を検討されている方へメッセージをお願いします。
介護タクシーオレンジは丁寧な搬送を低料金でご提供しています。準備を万端にしてお伺いするために自分がいる場所と目的地の情報、お身体の状態をできるだけ詳しくお話しください。介護・医療搬送のプロが駆け付けます。
杉澤さんはとても落ち着いた雰囲気の方でした。緊急時の対応や体に負担の少ない搬送方法など、救急救命士としての経験を活かして、これからも頑張って欲しいです。…そういえば、ボウサイ仮面の正体は誰なのか、聞くのを忘れてしまいましたね…(笑)