介護タクシー利用料金とは?
介護タクシーの料金は分かりにくいという声をよく聞きます。それもそのはず、介護タクシー利用料は一般タクシーのように運賃だけではなく、複数の項目の料金を合算した金額になるからです。介護タクシーは料金が高いと言われる理由もここにあります。さらに介護タクシーは一般タクシーに比べ1回の輸送にかかる平均時間がはるかに長いことも理由にあげられます。
では、これから介護タクシーの利用料金をみなさんにできるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。
介護タクシー利用料の3要素
まず下の表をご覧ください。介護タクシー利用料の大まかな内訳を記載してみました。運賃以外にかかる料金がいくつかあるのが分かります。ひとつずつ簡単に紹介していきましょう。
1.運賃(時間・距離に応じた料金)
一般タクシーと同じで走った距離・時間に応じて発生する料金です。国土交通省地方運輸局に申請して認可を受ける法令で定められた料金になるので、認可されていない運賃での運行や割引・割増は禁止されています。時間や距離が長くなるとその分高くなる、介護タクシー利用料の中で交通状況などに応じて変動する料金になります。
2.介助料(介助内容に応じた料金)
一般的な介助料金は乗降と運行中におこなう介助です。基本介助料という名前で設定している介護タクシーが多いです。その他、室内でベッドから車いす、ストレッチャーへの移乗介助や階段介助、食事やトイレ介助など、介助レベルの高いものを特殊介助料と呼ぶこともあります。介助料はお客様に必要なサポートの内容で決まる料金になります。
3.機材使用料(使用する機材の種類や数量に応じた料金)
移送に使用する車いすやリクライニング車いす、ストレッチャーなどの使用料です。高価なものだと数十万円する機材もあり、使用後の消毒や洗浄など私たちが思っている以上にコストと時間が必要な作業があるので、使用する機材によって料金が大きく異なります。また「ストレッチャー介助料」など使う機材によって介助料がプラスになる場合があります。
3つの料金以外に、買い物や清掃、薬の受け取りなど、日常生活のお手伝いをする生活サポートと呼ばれる料金もあります。
介護タクシーの運賃
介護タクシー事業者ホームページの料金説明を見るとたまに「一般タクシーと同じです」と表記されていることがありますが、実質は違う場合があります。事前に事業者のホームページなどで確認しておくと安心です。
東京23区+武蔵野市・三鷹市の一般タクシー運賃例(大型車)
距離制運賃 | 初乗 1.096km 530円 加算 240m 100円 |
時間距離併用制運賃 | 時速10km以下で90秒ごと 100円 |
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時間制運賃 | 初乗 1時間 5,590円 加算 30分 2,590円 |
東京都内の介護タクシー運賃例(大型車)
距離制運賃 | 初乗 2km 900円 加算 240m 100円 |
時間距離併用制運賃 | 時速10km以下で90秒ごと 100円 |
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時間制運賃 | 初乗 1時間 5,590円 加算 30分 2,590円 |
初乗の距離と運賃が違いますが、その他の運賃は同じです。タクシー運賃は地域によって設定が異なるのですが、さらに介護タクシーは同じ営業地域で同じ大きさの車両であっても運賃が異なる場合があるのです。
その他の運賃・料金
待料金 | 待機時間に応じて加算する料金 | 迎車回送料金 | 指定場所まで向かう料金 |
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予約料金 | 時間や車種を指定して配車する料金 |
割増・割引運賃 | 障害者割引(1割引) 深夜割増(2割増) |
運賃だけでもこれだけの種類があります。介護タクシー事業者のホームページで料金表を見て、私たちが概算料金を計算することは難しいです。やはり事前に料金を確認したほうが良いでしょう。
介助料の種類と内容
おもな介助料と料金例
基本介助料(乗降・運行中の介助) | 無料~1,000円 | 室内介助料(移乗・病院内の移動) | 500円~1,000円 |
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階段介助料(階段昇降の介助) | 1フロアにつき 1,000円~2,000円 |
付添介助料(外出先での付添) | 30分 1,000円~2,000円 |
複数名介助料(2名以上で行う介助) | 1名追加につき 2,000円~5,000円 |
名称は事業者によって様々ですが、概ね上記の内容になります。その他に看護師の同乗サービスなどもあり、介護・医療に係るニーズにある程度応えられる内容になっています。
介助は移送全般で行われている
たまにお客様より「乗せて降ろすだけなのに介助料を取るなんて!」という声をいただくことがありますが、介護タクシーは決して乗せて降ろすだけの乗り物ではありません。下の図をご覧ください。
乗降介助以外に運行前、運行中にも介助は行われているのです。たとえばいくら距離が最短だと言ってもお客様の状況によっては勾配のきつい坂道や段差やカーブの多い道は避けて通った方が良いことがあります。車いすやストレッチャーで車に乗ると実感できますが、通常のシートよりも不安定で、揺れを強く感じます。
見守りや声がけも大切な介助です。介護タクシーが一般タクシーにはない介助料を設定しているのは、このようなサポートが行なわれているからなのです。
介助料は時間と技術に対する対価
利用する介護タクシーごとに料金が異なる主な理由は、介助料の違いです。だからといって「高額な介助料を取る事業者はひどい!」「介助料が安い事業者は良心的」と考えるのは必ずしも正しいことではありません。なぜなら介助には時間と技術が必要だからです。
段差やマンホールを見逃さず車両の揺れを抑えて運転する技術、痛みを感じさせない介護技術など、介助スキルにも大きな差があります。介護タクシーを利用する時は、介助の質が事業者によって異なることを前提に、料金以外の内容も評価することが大切です。
介護タクシーで使用する機材
介護タクシーで使用する主な機材は車いす、リクライニング車いす、ストレッチャーの3つになります。すべて揃えている事業者もあれば、車いすのみ取り扱う事業者もあります。椅座位(ほぼ直角に座る姿勢)が可能な方には車いす、椅座位が難しい方にはリクライニング車いすやストレッチャーを使用します。
おもな機材と1回あたりの使用料金例
車いす(介助用・自走式) | 無料~500円 | リクライニング車いす | 1,000円~2,000円 |
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ストレッチャー | 1,000円~4,000円 |
その他移乗や移動に使用する布担架、重症の傷病者を安全に運ぶスクープストレッチャーなど、介護タクシーには様々な機材が装備されています。また患者等搬送事業者(民間救急)の認定を受けている介護タクシーは既定の資器材を積載する義務があります。
お客様の安全を最優先に、使用機材は消毒・清掃などで清潔にメンテナンスされています。また機材によっては通常の移送よりも時間と労力が必要です。機材使用料が設定されているのは、このような理由があるからなのです。
利用料金の見積依頼をする
ここまで介護タクシーの利用料金について説明してきましたが、最終的には利用を検討している介護タクシーに料金の概算を確認して、納得したうえで利用することが何よりも大切です。運賃など事前に確定できない部分はあるものの、ほとんどの介護タクシーが無料で見積りをしてくれます。
介護タクシー事業者は料金を分かりやすく明示・説明する義務がある
介護タクシーからも料金をできるだけ分かりやすく説明して欲しいです。「交通事情によって変わりますが、およそ●●円~●●円くらいですかね」という説明だけでも、私たちが気持ちよく利用するために必要な情報です。
もちろん正しく見積もりをしてもらうためには、私たちも必要な情報をきちんと介護タクシーに伝えなければなりません。
利用料金だけで介護タクシーを決めるのはもったいない
予約が取りやすい、対応が親切、介護福祉に関する情報が豊富など、介護タクシーを選ぶ基準は料金以外にもたくさんあります。自分に合った病院や施設を選ぶアドバイスをしてくれたり、介護の相談に乗ってもらったり…。介護タクシーは人を乗せて運ぶだけの乗り物ではありません。もっと色々なことに活用しましょう!
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