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ドライバーインタビュー

鹿児島民間救急つなぐ 浜田さん

鹿児島県 霧島市

鹿児島民間救急つなぐ浜田さんとタクシー車両

浜田さんは救急隊員の活動服のような制服姿。これまでお会いした介護タクシーのドライバーさんとは印象が全く違いました。それもそのはず、鹿児島県霧島市を中心に活動する鹿児島民間救急つなぐは医療搬送に特化した介護タクシーなんです。


2022.01.23追記

鹿児島民間救急つなぐは2021年に法人化して「株式会社トランスポートつなぐ」になりました。また新たにハイエーススーパーロングを増車、現在はキャラバンとの2台体制で営業しています。記事は取材当時の内容になります。

ハイエースとキャラバン

ハイエースとキャラバン

震災後の気仙沼で見た介護タクシーの仕事

まず開業に至った経緯をお話しいただけますか?

病院職員として勤務していた時代に、東日本大震災の医療支援スタッフとして宮城県気仙沼市に向かいました。現地で救急車ではない車両が病気や怪我の方を搬送する姿を見かけて、それが介護タクシー(民間救急)だと知ったんです。

鹿児島民間救急つなぐの車両・キャラバン
車両は旧モデルのキャラバン
ストレッチャーマークのステッカー
珍しいストレッチャーマークのステッカー

被災地で活動するドライバーさんにいろいろ話を聞いて、自分もやってみようと思い、2014年に福祉タクシーつなぐを開業しました。

災害支援活動をしている介護タクシーの仕事に興味を持たれたのですね。鹿児島民間救急つなぐ(2019年10月に名称変更)が医療搬送に特化している理由がわかります。

海上自衛隊の航空隊に所属していた時、災害救助は重要な任務でした。そういった厳しい現場を経験してきた自分にとって介護タクシー(民間救急)の仕事が向いていると感じたんです。

医療・消防(救急)機関との緊密な連携

鹿児島民間救急つなぐの特徴を教えてください。

医療搬送、介助・医療看護が必要な方の外出支援に特化しているところです。通常の介護タクシーでは対応が難しい精神疾患、重度認知症の方、DNAR(心肺蘇生拒否)患者の搬送など、専門性が必要なケースに対応しています。

電動リストを操作する浜田さん

警戒色テープで周囲に注意を促すリフト

民間救急の認定を受けている介護タクシーでもここまで対応している事業者は少ないと思います。やはり依頼は病院からでしょうか?

医療機関との連携が中心ですが、消防と連携することも多いです。精神疾患や重度認知症患者のご家族が救急車を要請しても必ず対応できるとは限らないんです。そういう時は消防署(救急)から紹介の連絡が来ます。

自分が医療機関で勤務していたこともあるのですが、安全な搬送ができるように日頃から病院や消防との連携を密にしています。

充実した医療搬送機器

利用者はどのような方が多いのでしょうか?

統合失調症、ADHD、重度認知症など対応が困難な方、ターミナル期の一時帰宅、DNAR(心肺蘇生拒否)患者の搬送など命にかかわる搬送業務が中心になります。DNAR搬送は月に2回程度行っています。医療搬送の依頼がない時、おもに週末は介護タクシーとしての外出支援も行っています。

リアウインドウに飾られたトトロのプレート

お客様からのプレゼント

対応が困難な方の搬送は気をつけなければならないことが多いと思います。日頃どんなことに注意されていますか?

設備面でいうと機器のメンテナンスですね。常に使用できる状態を維持しています。医療・消防機関にはあらかじめ搭載している機器を説明して、使い慣れたものなどの理由で車両持込の希望がない限り、こちらで対応できるものは用意するようにしています。

医療搬送機器が並ぶ車内
搬送機器が整然と配置されている車内
吸引用の水
吸引用の水も常備している

心電図モニターなど民間救急に対応している介護タクシーでも見ることがない機器が置いてありますよね。やはり需要があるということなんですね。

病院救急車の乗務員をしていた自分の経験から、必要なものを用意しています。初めて乗車する看護師さんには「こんなものまであるの!?」と驚かれます(笑)。

心電図モニター

心電図モニターを搭載

その他リフト乗降時に精神疾患の方が、不用意にリフトに接触しないようカラーコーンを設置したり、低速で走行する場合、後続車へ分かるように「搬送中」の表示をしたりしています。また高速道路を低速走行で利用する場合は事前に関係機関に相談するなど、細心の注意を払っています。

リフト利用時に設置するカラーコーン
反射材を使ったカラーコーン
車両後部へ搬送中の表示
後続車へ表示する「搬送中」のプレート

初めて聞く話ばかりですね…。他に気をつけていることはありますか?

特に精神疾患の方への対応で気をつけているのが「NGワード」の確認です。事前に担当医師や看護師、ご家族へ必ず確認しています。最後にこれも設備面ですが、窓ガラスがクリアガラスの車両を選定しています。最期の外出の方へ少しでも外の景色が良く見えるように。

ご自宅で最期を迎えることができるように

キャラバンの後部窓

クリアガラスの車窓

最期の外出というお話がありましたが、やはりそういったケースは多いのでしょうか?

ターミナル期(終末期)の帰宅の依頼を受けることは多いですね。その中でも印象に残っているのはリクライニング車いすで最期の帰宅をされた方のことです。リクライニング車いすのままご自宅に上がって、ご家族に声をかけられながら久しぶりに帰ってきた自宅の部屋を巡り、そのままご家族に看取られました。

あの時は無事にご自宅に送り届けるお手伝いができて、本当に良かったと思いました。

当たって砕けろ。でも本当に砕けてはいけない

ここでちょっと質問を変えて。浜田さんの好きなことを教えてもらえますか?

やっぱり飛行機が好きですね。あとドライブも好きです。今は飛行機やドライブ先で写真を撮ることに凝ってます。

なんだか結局お仕事に結びついてますね(笑)。それでは鹿児島民間救急つなぐの利用を検討されている方へメッセージをお願いします。

鹿児島民間救急つなぐは夜間・緊急時の依頼にも対応しています。ご家族、看護師、医師、消防、一般タクシーの福祉部門などと連携をとって最適な移動手段をご案内します。医療搬送が優先ですが、通常の介護タクシー業務も承ります。介助が不要な方には一般タクシーもご紹介可能です。ご連絡お待ちしております。

注意深くリフトを操作する浜田さん

医療搬送はお任せください

最後になりますが、浜田さんの好きな言葉を教えてください。

「当たって砕けろ」です。と言っても本当に砕けたらいけないのですが(笑)。海上自衛隊の航空隊に所属していた時の上官の言葉です。海難救助は技術と判断が人命に大きくかかわります。まだ若い頃「当たって砕けんか!」と上官に檄を飛ばされ、人の命の大切さを痛感したあの厳しい経験が、いまの自分を作っているんです。


インタビュー終了後、浜田さんから今の介護・福祉タクシーと民間救急の制度について、疑問や問題と感じていることをまとめたレポートをいただきました。そこには料金がバラバラで分かりにくいということや、継続的医療行為が無自覚かつ違法に行われているという懸念や疑問が書かれていました。

今後は増車や民間救急のネットワーク作りに力を入れていきたいと話す浜田さん。とても熱心な方です。きっと浜田さんには「人を助ける」という強い使命感があるのだと感じました。

民間救急つなぐ代表の浜田靖氏

鹿児島民間救急つなぐ(株式会社トランスポートつなぐ)

代表取締役 浜田 靖
1965年鹿児島県生まれ。鹿児島県医療福祉搬送協会会員、患者等搬送乗務員、介護士実務者、応急手当普及員。海上自衛隊員(航空隊)、病院職員、病院救急車乗務員などの職務を経て2014年に「福祉タクシーつなぐ」を開業。その後医療搬送を優先して対応するべく、名称を「鹿児島民間救急つなぐ」に変更。鉄道・航空機を使った長距離搬送、DMATチーム支援などを行っている。

鹿児島民間救急つなぐ 情報ページ