介護タクシーコラム
介護タクシーめぐり的 沖縄観光のススメvol.4☆本島・南部編☆
沖縄本島の玄関口、那覇空港から車で30分圏内の本島南部エリアには、バリアフリー設備No.1の世界遺産城址や戦後復興の象徴、沖縄戦の悲劇ガマ、沖縄文化の集合テーマパークが点在しています。
今回は、豊見城市・糸満市・南城市・与那原町・八重瀬町・那覇市の南部エリアで車いすでも楽しんで学べる観光スポットを、運行歴15年の介護タクシーめぐりが厳選してお伝えします。
これから紹介する全ての観光地は、私が何度も車いすユーザーをご案内している場所なので、デイサービスセンターに務めるヘルパーさんの介助スキルなら問題なく案内できるはずです。
沖縄観光を充実させるために、ぜひお役立てください。
那覇市「首里城」
2019年10月末に5度目の焼失という、沖縄県民のみならず世界に衝撃を与える大惨事に見舞われた首里城。現在、6度目の復興・再建に向けて着実に歩みを進めています。
介護タクシーめぐり的おすすめは、やはり、首里城正殿・北殿・南殿の復興状況を五感で体験していただくことです。
灼熱の炎は、貴重な展示物も煌びやかな唐破風も青空に生える朱色の支柱もすべて焼き尽くしてしまいました。その惨劇から、情熱と誇りをもった職人たちが日々汗を流しながら、沖縄県民の象徴を再度築き上げています。
幸か不幸か正殿が焼失したことで、世界遺産城址の根拠となる遺構が以前よりも見やすくなっています。ぜひ現場でご覧になってください。
守礼の門をくぐりぬけて右折すると、うねった坂のバリアフリーコースがあり、上りの車いす誘導介助に少し難儀をしますが、手すり付きトイレ(オストメイト含む)、ゆるやかなスロープ、段差レスの設備が充実しているので、他のエリアでの車いす移動はとても快適です。
那覇市「国際通り」
戦後復興のシンボル国際通りは、全長1.6kmの道沿いに沖縄文化や歴史が反映されたお土産店・飲食店・劇場が軒を連ねるにぎやかな通りで、沖縄観光には外せないスポットです。
介護タクシーめぐり的おすすめ店舗は、琉球民謡と戦後沖縄の唄を化学反応させているライブハウス島唄と、沖縄の芸能と笑いを世界に発信しているてんぶす那覇です。
ホテルJALシティ那覇から徒歩3分圏内のはいさい沖縄ビル3階にあるライブハウス島唄は、トイレこそ健常者向けですが、店内入口からステージまで段差レスのスロープ整備が好印象なバリアフリー魂店舗です。
Check Point
ステージ左側スロープ付きの特等席での鑑賞をおすすめします。
ライブハウス島唄は沖縄民謡界の巨匠・知名定男氏がプロデュースするネーネーズが活動する拠点で、伸びやかな歌声と三線の音色に癒されます。とくに、「黄金の花」は名曲中の名曲なのでハンカチ必須です(笑)。
人参しりしり~やゴーヤーチャンプルーなど、県民の食卓で愛され続けている料理がとても美味しいので、沖縄ナイトを満喫する場所としておすすめします。
もう一つのおすすめ、てんぶす那覇は2階に熟練の職人が手作業でつくった、お土産を販売する伝統工芸館があり、4階のてんぶすホールでは沖縄で活躍するお笑い芸人のライブや、若手舞踊家らによる伝統芸能も開催されますので公式サイトをこまめにチェックしてください。
3階と4階には車いすトイレやオストメイトトイレも備えられているので安心です。
糸満市「ひめゆりの塔」
1945年4月1日に沖縄本島に上陸した米軍は、またたく間に北部と中部を制圧して、日本軍と沖縄県民を南部へと追い込んでいきました。ひめゆり学徒隊と言われた、15歳~19歳の女学生たちは予告なく戦場に駆り出され、兵士の傷の手当てや死体埋葬、水汲みと食糧運搬の作業に追われていきました。
介護タクシーめぐり的おすすめ体験は、ひめゆりの塔での慰霊と同施設内の平和記念資料館でつづられている生々しい戦争の記憶を追体験することです。
突如として射撃訓練を義務付けられた女学生たちが、兵士の怒号と赤ちゃんの泣き声、爆撃音が響くガマ(自然洞穴)の中でひたすら看病を続ける様が、資料館展示物を介してリアルに伝わってきます。
第3展示室で観る当時の惨劇を記録したフィルム映像は、琉球石灰岩の崖を転がり落ちていく死傷者の様子が戦争の生々しさを映していて、平和ボケした思考に往復ビンタされる思いです。
ひめゆりの塔敷地内から資料管内に至るまで段差レスのバリアフリー構造で、車いすトイレ・オストメイトトイレも完備されています。
※コロナ禍の外出自粛により、戦争の悲劇を伝える当該施設の運営は、決して楽なものではないはずです。現地での慰霊を行うことが運営の支援につながり、先人の魂に安らぎを与えることでしょう。ぜひ、訪れてみてください。
糸満市「摩文仁・県営平和記念公園(平和の礎)」
1945年4月1日に沖縄本島の読谷村沖から米軍が上陸し、約2週間で本島最北端・辺戸岬を制覇。その後、一気に南下し6月22日には本島最南端の糸満市摩文仁を攻略しました。最後の激戦地・摩文仁の丘に沖縄戦の戦没者を弔う平和の礎と平和記念資料館があります。
介護タクシーめぐり的おすすめは、沖縄戦に至るまでの経緯がわかる平和記念資料館鑑賞と、いまなお戦没者が刻銘され続ける平和の礎への訪問です。
平和記念資料館内は「沖縄戦への道」→「鉄の暴風」→「地獄の戦場」→「沖縄戦の証言」→「太平洋の要石」5つのテーマで構成されていて、戦争突入から戦後沖縄の復興の歴史を、遺品や展示物と戦争体験者の証言を通して学べます。
平和記念資料館の南側には平和を希求する火が灯りつづける広大な広場があり、その隣に20万人以上の戦没者を慰霊する平和の礎があります。余談ですが、私の祖父・花城文三郎の名前も刻銘されています。
かつて敵国であったアメリカ人、戦争に巻き込まれた朝鮮人や中国人など、国籍・身分・宗教を問わず戦没者すべてを慰霊する膨大な礎をみて、どんな思いに駆られるでしょうか。
公園内はバリアフリー構造で車いすの移動やトイレ問題に難儀をすることはありません。適切な場所に障がい者専用乗降所も整備されているので、乗用車でのアクセスも容易です。
南城市「玉城・おきなわワールド」
残念ながら車いすユーザーは、県内最大級の地下鍾乳洞(最長5000m)の神秘的な空間を体験することはできないのですが、おきなわワールドの楽しみ方はそれだけではありません。
介護タクシーめぐり的おすすめ体験は、アクロバットなエイサー演舞を魅せつけてくれる、スーパーエイサーショーとハブとマングースのショーです。
ご先祖様を送るために旧暦7月15日のみ踊られていたエイサーは、時を経て新築祝いや披露宴、運動会の演目としても踊られるようになり、沖縄県民の生活に深く刻み込まれています。
おきなわワールドで演舞されるスーパーエイサーは、カンフーを取り入れたかのような躍動感あふれる踊りとコミカルな獅子舞演舞が大人気のエンターテイメントショーです。
座席最前列中央あたりに車いすユーザー3名+付き添い3名ほどの専用スペースが確保されているので、ダイナミックな演舞を目の当たりにできます。
私が小学生の頃、読谷村や琉球村で鑑賞できたハブとマングースショーが、ここ南城市おきなわワールドでは1日に3回行われています。
となりに付き添い席がないので少し寂しいですが、車いすユーザーもプチ恐怖と興奮のショーが楽しめるように指定席ゾーンが設けられています。
ほかにも海ヘビとマングースのタイマン水泳対決や人間VSコブラとの決闘?などがあり、スタッフの軽快なおしゃべりがショーを面白おかしく盛り上げてくれます。
まとめ
第二次世界大戦の激戦地であった沖縄本島・南部には戦跡や慰霊碑が数多くあり、戦争の悲惨さを静かに訴え続けています。
先人の犠牲と平和を願う思いが積み重なって沖縄県は美しい島を取り戻し、世界の人々を魅了する観光立県として生まれ変わりました。
ゆるくて楽しい沖縄観光、切なくて胸がはりさけそうな沖縄観光。ぜひ、どちらも思いっきり味わい尽くしてください。介護タクシーめぐりがご案内いたします。
介護タクシーめぐり的 沖縄観光のススメvol.1☆やんばる北部・北エリア編☆ を読む