介護タクシーコラム
介護タクシーは交通弱者からおカネをぼったくる乗り物だ!と怒る前に考えてもらいたいこと
お手数をおかけしますが、下記3点をチェックすべきだと思います。
- 電話orメールで見積依頼や利用手順を伺い、分かりやすく説明してくれるか
- 手間をかけてでも相見積もりは3事業者に依頼する
- その事業者がWebサイト/SNSで何を語っているのかを観察する
これまでに福祉/介護タクシーを利用したことのない車いすユーザーや高齢者らは、外出移動をサポートする福祉/介護タクシーに以下のイメージを持たれている事が多いようです。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
- 運賃は半額以下で利用できるんでしょ?
- 介護保険みたいに1割負担でいいんだよね?
- 福祉/介護という名前がついてるタクシーだから支払額は格安or低額だよね?
答えはNOです。
なぜなら、介護タクシーは福祉サービスの1つでも介護保険サービスの1つでもなく、もちろんボランティアでもない、れっきとした運行ビジネスなのですから。
誤解のないようにお伝えしますと、介護タクシーは訪問介護などの介護保険サービスに含まれているわけではありません。
介護タクシーのはじまりは、お客様の要望にお応えしてピンポイント輸送を提供していたあるタクシー会社が、高齢化社会到来を見据え、ヘルパー資格所持者のドライバーに身体介助も提供させた、新しい形のタクシーサービスなのです。
介護タクシーの利用価値って安さ?快適便利?安心安全??
不満爆発さん
19:00過ぎ、病院から自宅への退院利用をお願いしたら割増料金3,000円も取られた!
いら立ち止まらないさん
実走距離1kmの往復で5,000円はあり得ない。二度と利用しない、したくない!
ぼったくり許さないさん
あんなに簡単な車いす乗降介助だけで、介助料1回1,000円とかぼったくりでしょ!
SNSやインターネット上には、残念ながら介護タクシーへの不平・不満があふれています。
そのような苦情を吐き出したくなる気持ちも十分理解できます。
また、移動困難者には経済的に豊かでない方も現実としていらっしゃいます。
健常者に比べ、外出の機会が格段に減る障がい者・高齢者が意を決して問い合わせをしたとき、料金体系や説明が何だか分かりづらいし、さらに一般タクシーよりも料金が高くなるのであれば、不満の一つや二つや九つも出ることでしょう。
しかしながら、我々介護タクシードライバーは、一般タクシーとは違った色合いの価値を提供しています。
それは以下の5つです。
ドライバーもお客様もストレスなくタクシー車両へ乗り降りできる車いす専用設備で、快適な移動と安心の介助を提供できる
タクシーに乗る前と降りた後(病室や自宅お部屋へのお迎え、車いすへの移乗介助、段差・凸凹悪路のクリア、その他気遣い配慮など)の介助を、ドライバーが責任を持って行う
快適移送に必要な福祉機材(リクライニング車いす、ストレッチャー、酸素ボンベ、痰吸引器、階段昇降機、布担架、乗降スロープなど)を所有していて、お客様の身体状況に合わせた資器材の選定と提案ができる
バリアフリー飲食店や観光地や車いすトイレ情報に長けていて、お客様それぞれの要望に沿った観光プランを提案できる
バリアフリー・ユニバーサル社会への知識・見識を常に学び、車いすユーザー・視覚・聴覚・発達・精神障がい者が抱える「機会の不平等」「情報の遅れ」「心理的/物理的なバリア」を社会に発信する
いわゆる介護タクシー独自の価値提供ってやつです。
一般タクシーには成しえません。断言します。
まぁ、5つ目に関しては私だけが勝手に使命感を感じてやっているだけなのですが…(苦笑)
介護タクシー事業者が与える価値と乗客が受けとる安心
利用してみてこのような付加価値を感じられたでしょうか?
ドライバーの介助や配慮や心配りに対して納得が得られたでしょうか?
このようなサービスを受けても料金は安くあるべきだとお考えでしょうか?
冒頭を振り返りますが、
利用する前にこのような説明をしっかり行ってくれる事業者なのかどうか、電話対応は丁寧かどうか、メールレスポンスは早いか・分かりやすいかをしっかり調べて観察しましょう。
ホームページも運営している事業者だったら「見やすいか・発信内容が分かりやすいか・問い合わせがしやすいか」も判断材料に加えましょう。
これらのリサーチを、利用したいエリアで営業している3事業者から行いましょう。
その手間を惜しんでいると、本当に良い介護タクシーにはめぐり合えないと思います。
本当に良い介護タクシーとは?
一般タクシーよりも高い支払いを求められる福祉/介護タクシーの運行サービスが誕生して20年余。高いだけのタクシー事業者として認識されているなら、とっくに社会から淘汰されているはずです。
乗降介助1回1,000円、貸切観光料金1時間6,000円を頂く私など、ケアマネ・相談員・お客様から見放され、とっくに廃業しているはずです。
低価格を全面的に押し出した交通事業者は、その負担が末端のドライバーの精神的肉体的疲労を煽り、死傷者を巻き込む悲惨な事故を起こしかねません。
100円均一や高品質低価格、今なら50%割引セールというキャッチコピーが社会に流布され、それを当たり前のように受け取り、サービスとは良質で良心的な価格(安い)でなければならないという価値観を、私たちは知らず知らずのうちに刷り込まれました。
繰り返しになりますが、
その介護タクシーを利用する前に、事業者自身が「どんな言葉で語るのか」に着目し、実際に「何を提供してくれたか」のサービス内容を振り返ってみましょう。
それでも不平・不満を吐き出さずにいられないなら、最寄りの運輸支局へGOGOです。
インターネットで「お住いの都道府県+運輸局」で検索をかければ出てくるはず。こちらのコラムもぜひ参考になさってください。
※このコラムは花城さんの許可をいただいて編集・転載しています。
オリジナルの記事を読む(介護タクシーめぐりブログ)