介護タクシーコラム
災害時の搬送を学ぶ ― 全民救JPAS研修
一般社団法人全民救患者搬送協会(全民救)は、2024年(令和6年)9月11日に厚生労働省DMATと連携協力に関する協定を締結したことを契機に、DMAT事務局職員を講師に迎えた研修会、JPAS研修を全国の介護・福祉タクシー、患者搬送等事業者をはじめ、医療・介護従事者向けに開催することを決定しました。
そもそも全民救やDMATって?
全民救は医療搬送サービスの総合窓口
全民救は医療継続が必要な方を医療機関、消防機関、介護施設などと連携して搬送する事業者が集まった民間の団体です。新型コロナウイルスの患者搬送や、能登半島地震での被災地患者搬送など、災害発生時は行政の要請を受け、全国から会員事業者が集結して支援活動を行っています。
DMATは厚生労働省に事務局を置く災害派遣医療チーム
DMAT(Disaster Medical Assistance Team:ディーマット)は、阪神・淡路大震災をきっかけに一人でも多くの命を助けようという理念のもと、2005年(平成17年)に発足しました。医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職および事務職員)で構成され、専門的な訓練を受けた医療チームです。
全民救は被災地でDMATの活動を補完する役割を担う
被災地でDMATの指示のもと搬送事業者と連携を密にして配車調整を行っている全民救は、DMATの活動を補完・後方支援する機関として重要な役割を担っています。災害規模によっては全民救加盟事業者だけでは台数が足りず、全国の民間救急、介護タクシー事業者などに協力を要請することもあります。
全民救が能登半島地震で全国の搬送事業者に協力を要請し、一緒に被災地で活動した時に感じたこと――。それは被災地患者搬送について、それぞれの事業者の理解が異なることでした。
患者搬送の共通理解と標準化に向けて
被災地では日常の生活では考えられない状況が至る所で発生します。私たちも災害時は冷静な判断で適切な行動をとらなければなりませんが、被災地で医療を必要とする方を搬送する事業者のみなさんは、自身の安全に加え、患者の安全も考えて行動する必要があります。そのためには被災地患者搬送について正しい知識を学び、共通認識を持つことが不可欠です。

昼夜を問わず被災地で活動する民間救急
災害時の搬送を学び、知識を共有することが大切
全民救が目指す、標準化された患者搬送が被災地で的確に行われるよう、災害時の搬送を学ぶ機会としてDMATと連携したJPAS研修が始まりました。初回は全民救の会員事業者を対象に開催し、第2回以降は会員外の搬送事業者や、事業者と連携する医療・介護従事者に向けて広く受講者を募っています。
JPAS研修で全国の搬送事業者・関係機関と連携を
全民救はJPAS研修を通じて、全国の搬送事業者や関係機関との連携を目指しています。関係機関と協力しながら災害発生時に被災地へ支援に向かうことができる搬送事業者をできる限り多く募り、協力事業者の情報を事前に把握しておくことで、1人でも多くの命を助けることができると考えています。

第1回JPAS研修後の集合写真
災害大国日本において、被災地患者搬送は人命にかかわる重要な仕事です。私たち自身、そして私たちの大切な家族が災害当事者になったら――。だからこそ「一人でも多くの命を助ける」ために活動するDMAT、全民救、そして全国の医療・介護従事者や搬送事業者のみなさんの取り組みを、しっかり応援していきたいと思います。
JPAS研修開催情報
2025年(令和7年)11月29日(土)
時間:10:00~15:30(予定)
会場:Time Sharing 水道橋 ビーロット神保町ビル 3A(東京都千代田区西神田2-1-12 ビーロット神保町ビル3階)
満席につき会場を変更しました。
研修費:8,000円(昼食込)
申込方法:申し込みフォームより
参加締切:定員に達したため締め切りました。
お問い合わせ:0465-20-3349(全民救 事務局)

