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介護タクシーコラム

事前確定運賃の実証実験

タクシー

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2020.01.27追記

事前確定運賃は2019年10月25日に国土交通省により認可されました。2019年10月28日より現在に至るまで順次サービスが広がっています。こちらは認可前、実証実験段階でのコラム記事です。予めご了承ください。

ただ現在もアプリの利用など諸条件に合わないため、介護タクシーでは事前確定運賃サービスを行なっていません。もっと料金が分かりやすく、明確になって欲しいですね。


事前確定運賃ってご存知でしょうか。乗る場所と行き先を決めて事前に運賃を算出、実際のメーター料金ではなく事前に決められた運賃で支払うことができる仕組み。新しいタクシーの乗り方としてマスコミでも取り上げられていますが、この事前確定運賃。介護タクシーにこそ必要な仕組みだと思うのは私だけでしょうか…。

走るルートや渋滞などで料金が大きく変わるメーター運賃

タクシーメータは「時間距離併用運賃」に基づいて運賃表示をします。介護タクシーも同じです。走る距離と所要時間が初乗り運賃にプラスされる仕組みです。地域や車種によって変わりますが、○○メートル毎に○○円、時速10km以下の走行時間○分○○秒ごとに○○円、という料金の仕組みになります。

東京23区+武蔵野市・三鷹市の一般的なメーター料金(H29.8現在)

初乗り運賃 1.052kmまで 410円
距離運賃 237mごと 80円
時間運賃 時速10km以下で90秒ごと 80円

※高速道路では距離運賃のみの適用

同じ場所に行くのに毎回料金が違うのは、この時間距離併用運賃で計算されているからです。信号待ちでメーターが上がるのもうなずけます。この時間距離併用運賃を取っ払って距離、時間の予想値から運賃を決める。それが「事前確定運賃」なのです。

実証実験で何をするの?

今回の事前確定運賃の実証実験では、「料金の妥当性」「利用者の利便性」「タクシーの実車(お客様を乗せている状態)効率(=生産性)の向上」についてアンケート調査などを行ない、制度化の検討をするようです。利用者にとってより分かりやすく、そして安く利用できる制度なら大歓迎ですよね。

ただ今回の実証実験、参加しているのは都内4つのタクシーグループで、利用条件も微妙に異なります。個人的には同じ条件下で実証実験を行なう方が良いのでは?と思うのですが、公平性とか大人の事情とかいろいろあるようで…。参加しているタクシーグループとおもな違いは以下の通り。

4グループ共通の条件

  1. 東京23区+武蔵野市・三鷹市エリア限定
  2. 算出した事前確定運賃額が3,000円以上
  3. ルートや行先変更があった場合はメーター運賃適用に変更
  4. 実験に参加しているタクシーグループの配車アプリのダウンロードとユーザー登録が必要、つまりスマホユーザー限定。
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JapanTaxi株式会社リリースページより

・日本交通グループ(4,170台)
配車アプリは290万ダウンロードを誇る「全国タクシー」、事前確定運賃の利用にはクレジットカードの登録・決済が必須。

・大和自動車交通グループ(40台)
配車アプリは「大和自動車交通タクシー配車」、事前確定運賃の利用には前日までの予約が必要で、アプリの認知も弱い。

・国際自動車グループ(320台)
配車アプリは「kmタクシー」、今回の実証実験のために作った配車アプリなので認知されていない。

・第一交通産業グループ(118台)
配車アプリはグループ配車アプリ「モタク」をベースにした専用アプリ「モタク 事前確定運賃」こちらも比較的認知が弱い。

実施台数だけみてもこれは「全国タクシー」の実証実験か?と素人目に見ても思ってしまいます。国土交通省が行なう実証実験なので1社が独占であってはいけないなどの事情があるのでしょう、きっと。ならばせめて利用条件だけは統一して欲しかった。差がありすぎでは?

なにはともあれ始まった実証実験。4社の相見積もりや利便性の検証をブログでしている方もいらっしゃるので、検証結果が楽しみです。国土交通省にはいろいろな角度から意見を取り入れていただき、公正で便利な制度を作ってほしいです。

介護タクシーこそ事前確定運賃を

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介護タクシー・福祉タクシー利用料金の計算は複雑です。車両にはたくさんの書類と電卓、移送完了時にメーター運賃に予約料金、介助料、機材レンタル料、障がい者割引、福祉タクシー券、いろいろな計算をして領収証を作って精算する。時間がかかって当然です。これは利用者、介護タクシー事業者どちらにとってもマイナスでしかないことです。

運賃が事前に確定できれば、その他サービスは事前に料金が計算できます。しかも介護タクシーは「予約」しかできないと法律できめられていて、走っている介護タクシーを「ひろう」ことはできません。事前に料金を正確に案内できる仕組みは、「料金が不明瞭」といわれる介護タクシーにこそ必要なものではないでしょうか。

行き先と利用するサービスが分かれば事前に利用料金が確定するシステム。事前確定運賃が制度化されればすぐに登場しそうです。さらに営業日報や売上計算にも使えるシステムだったら個人事業主が多い介護タクシー事業者にも喜ばれそうです。不正な料金請求の防止にも期待ができます。JapanTaxiさん、いかがでしょうか?

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著者紹介

滝口 淳(ライター)
タクシー業界の片隅で仕事をしながら、介護福祉タクシー情報の分かりにくさを実感。障がいを持つ子どもの親として情報サイトの立ち上げを企画。現在取材活動中。

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