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介護タクシーコラム

バリアフリーからJPN TAXIを考える

タクシー

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2017年10月23日、発売まで6年の歳月を費やした次世代タクシー「JPN TAXI」が華々しくデビューしました。介護タクシー案内所はおでかけ応援サイトという視点で、バリアフリーの観点からこの新しいタクシーについて考えてみたいと思います。

誰でも快適に利用できるUDタクシー

タクシーとしての機能性、操作性、乗り心地を追求した車両は外観も特徴的です。従来のコンフォート車両と同様にフェンダーミラーを採用。ドライバーの左右後方確認動作を最小限に抑え、より安全に運転するための工夫です。

また低床フラットフロアの車内は乗車するシートの高さも丁度よく、NV200のように階段を上がって座るという感覚はありません。また乗降側(左後部)ドアは右側よりも開口部が広い電動スライドドアで、乗り降りしやすい作りになっています。

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フェンダーミラーを採用
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左後部ドアは右よりも大きくスライド仕様

ラゲッジスペースも広く、身体の大きな外国人なども狭さを感じることなく乗車できそうです。また運転するドライバーにとっても痒い所に手が届く仕様になっていて、さすが6年間研究を重ねて開発したトヨタの自信作だと感心しました。

最新の安全装置とIT

標準グレードの「和(なごみ)」と上級グレード「匠(たくみ)」の両方に衝突回避支援、1台に6つのSRSエアバッグを搭載するなど、最新の安全装置を標準装備しています。またオプションでブレーキアクセル踏み間違い防止機能も用意。先進の技術とITによる安心・安全の充実装備です。

車いす利用者には?

このように機能満載のJPN TAXI。では本題のバリアフリーレベルはどうでしょう?まず、立位可能な歩行困難の方にとって車高30㎝は大変かな?という感じですが、JPN TAXI用にステップも販売されています。また手すりもあるので、杖やシルバーカー(手押し車)利用の方もドライバーさんのアシストで楽に乗車できそうです。

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2枚のスロープをつなげて使用する

では車いすはどうでしょう。国土交通省のUD認定基準である傾斜角14度以下、乗降幅700㎜以上などをクリアした車いす用のスロープが搭載されていますが、利用するには時間と手間がかかります。車いすでの利用について気になった点をまとめてみます。


  1. 2つに分かれたステップをセットして乗車するまでに15~20分程度かかる。
  2. 横向きに乗車するので車内で車いすを切り返して向きを変える必要がある。
  3. サイドスロープなので乗降場所の確保が難しい。

スロープは1枚目・2枚目ともドライバーが取り出す必要があります。しかも1枚は後部座席下、もう1枚はラゲッジスペースにあります。これでは時間がかかって当然ですね。また利用可能な車いすのサイズも限られているので、高さ1,300㎜、幅700㎜、長さ1,200㎜を超える大型のリクライニング車いすなどは乗車できません。

結論、車いすの方は状況によってJPN TAXIと福祉限定タクシーのどちらを利用するか検討する必要がありそうです。「車いすのままでも乗れる一般タクシー」という感覚で利用する方が良さそうですね。

介護タクシー(福祉限定)とのすみ分け

車いすのまま乗車できるUDタクシーは、介護タクシーの代わりに利用できるのでは?と思う方も多いと思います。ただ先ほど述べたように乗車するための時間が長い、乗車できる車いすのサイズなど、利用できる方は限られそうです。

また最大のポイントは介助レベルの違いです。階段介助、室内介助が必要な方はやはり介護タクシー(福祉限定)を利用するべきでしょう。乗降介助においても車いすの扱い方や細かい部分の気配りでUDタクシードライバーとの違いが出てくると思います。

利用者本人の状況、付き添い介助者の状況、行き先の環境などを総合的に捉えて、UDタクシーと介護タクシーを賢く使い分けることが大切です。

乗り場の整備とドライバーの意識

せっかく良い車を作ったのであれば、これからの課題は乗り場確保とドライバーの意識改善が必要です。UDタクシーについてでも書かせていただいている通り、車いすの方が乗降できるスペースがあるタクシー乗り場が少ないのです。この対策は急いでほしいです。

もう一つ必要なことは、一般タクシードライバーの意識が変わることだと思います。出発式の帰り、最寄り駅でトランクのベビーカーを運転席から降りることなくお客様に取り出させていたタクシーの姿を見て、少し寂しい気持ちになりました。

バリアフリーはストレスフリーにあらず。どんなに立派な設備がいくら整っていても、最後に人への思いやりや優しさがないと本当のバリアフリーではないのだと思います。タクシー業界のこれからに期待したいですね。

東京からお出かけの楽しみを発信!

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深藍の車体に東京オリパラのロゴマーク

出発式の挨拶で、全国ハイヤー・タクシー連合会/東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長は、2020年までに東京でJPN TAXIを1万台導入すると宣言していました。2020年といえば東京オリンピック。東京のタクシー約28,000台の3分の1が深藍(こいあい)のタクシーに変われば確かに東京の景色が変わって見えるでしょう。

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五輪ナンバーで走るJPN TAXI
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お台場の街を走りました

みんながお出かけを楽しめる社会にするために。UDタクシーにも介護タクシーにも、やるべきことはまだまだありそうです。


今回の出発式では、JPN TAXIの機能性、先進性にフォーカスした話題に終始した感が強いと思いました。個人的な感想ですが、会場に展示された3台のJPN TAXIで1台だけでもスロープを設置したかたちで展示して欲しかったです。これからいろいろな声を聴いてもっと良いものに変わっていくことを期待しています。

誰でも利用できるUDタクシーが増えて、外出を躊躇している人たちが気軽にお出かけできるように。私たちにできることは何か、もう一度考えてみたいと思います。

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JPN TAXI(ジャパンタクシー)

トヨタ自動車による日本の風景を変える新しいタクシー。車いすのまま乗車もできる、日本の「おもてなしの心」を反映した、様々な人に優しい次世代ユニバーサルデザインタクシー。


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