介護タクシーコラム
介護タクシー有志グループの研修に初参加!
2020年9月の横浜市某所・・・隠れ家のようなガレージに東京・神奈川の介護タクシードライバー有志8名が集まりました。事前の検温、マスク着用、手指消毒、室内換気など新型コロナ感染対策を十分に行いながら、実技研修が行われました。当日のようすをレポートします。
目 次
患者等搬送乗務員の資格を持つ介護タクシードライバーが集合
今回の研修は車いすへの移乗・移動ではなく、臥床(ベッドや布団で寝ている)状態から布担架、スクープストレッチャーなどを使って、ストレッチャーやコンビネーションストレッチャー(椅子型に変形するストレッチャー)に移乗するというものでした。
通院などのお出かけに車いすを使用する人よりも、麻痺状態など起き上がることが困難な介護度・医療依存度の高い人を想定していて、介護タクシーでの移送というよりは、民間救急搬送に近い研修内容でした。
さまざまなケースを想定して繰り返し移乗を訓練する
利用者の身体状況などシチュエーションによって機材を変えて、床からストレッチャーやベッドからストレッチャー、ストレッチャーからコンビネーションストレッチャーなど、さまざまなケースを想定して移乗の訓練をするドライバーのみなさん。ときに介助の方法を巡って討論になるほど真剣に取り組んでいました。
どうすればお客様の身体への負担を最小限に、最も安全な方法で移乗できるのか、参加者の目的は同じです。その中で意見を交換しながら最善の方法を見つけていく。気心知れたメンバーで行う研修の効果は絶大です。
介助される立場になって分かること
身体の重い利用者役として指名を受けた私も、研修に加わることになりました(それほど重たくはありません・・・)。2組のドライバーに布担架でストレッチャーへ移乗してもらう体験をさせていただきましたが、気付いた点がいくつかありました。
- 介助者の顔や手が思った以上に自分の顔の近くにくる。
- 頭が下がった状態で移動すると気分が悪くなりやすい。
- 布担架を持つ2名の距離が近いと体がくの字になって苦しい…。
- ベッドから離れる時やストレッチャーに乗る時に、介助者の力加減で衝撃がほとんどなくなる。
布担架で運ばれていても揺れをほとんど感じることなく、目をつぶっていると知らぬ間に床からストレッチャーに移動しているという感覚。自分が体験することであらためて介助技術の大切さを実感しました。
介助技術の高さで介護タクシーの価値が決まる
車いすのまま予約なしで乗車できるユニバーサルデザインタクシーや地域の高齢者の移動を支援する福祉有償運送など、それぞれの役割において移動サービスが存在します。これらのサービスに比べて介護タクシーや民間救急は利用料金が高いと言われています。確かに料金だけを見ると否定はできません。
しかし専門的な介助技術、設備・機材において最もレベルが高く、特に移送困難ケースにおいて実力を発揮できるのは紛れもなく介護タクシーです。タクシー以上・救急車未満という、いま最も必要とされている移動を支えているのが介護タクシーなのです。
事業者の高い意識が利用者の安全・快適につながる
私たちがいつも利用している介護タクシーは、安全で痛みの少ない移送ができるように、今回ご紹介したような研修・訓練を重ねています。ただ残念ながらすべての介護タクシー事業者が高い意識を持っているわけではありません。
だから1回の利用で介護タクシーの価値を決めずに、ぜひ複数の事業者を利用して欲しいです。きっと満足できる相性の良い介護タクシーが見つかるはずです。最初はぎこちない新人ドライバーでも、訓練と経験を積むことで高い技術を身につけてくれるはずです。
研修に参加させてもらって、あらためて介護タクシーの価値や技術の高さ、グループで研修・訓練することの意義を知ることができました。みなさんも介護タクシーを利用するとき、ドライバーの動きや対応を意識してみてください。今まで気づかなかったことが見えてくるかもしれません。