介護タクシーコラム
新規会員募集でピーク時の対応を強化~WPIコールセンター会議~
介護タクシーの需要拡大にともなって午前中、とりわけ通院時間帯の9:00~10:00前後の予約が取りにくくなっているという現象は、都市部で起きている深刻な問題です。埼玉県介護タクシーコールセンターを運営する、一般社団法人福祉事業振興会(WPI)も同様に、ピーク時の供給不足の問題を抱えています。
コールセンター会議に参加
2024年4月、南越谷駅近くにある越谷サンシティにて、WPIコールセンター会議が開催されました。今回の会議では、ピーク時の供給不足に対応するために、会員規模の拡大施策について話し合われました。
自然に意見交換ができる雰囲気をつくる
会議の冒頭は原田理事長の世間話から始まり、そこからスッと本題へ。参加者が意見を言いやすい雰囲気を作ってからスタートしました。ポイントはWPI正会員(コールセンター会員)の新規獲得。原田理事長があらかじめ用意しておいた会員と賛助会員のメリットについて、参加者に意見を求めました。
WPIの会員と賛助会員とは?
埼玉県介護タクシーコールセンターでは、WPIの武藤理事が予約を一元管理して会員(コールセンター会員)を配車します。会員が予約で埋まってしまっている場合は、賛助会員に依頼をして極力予約を断ることがないよう調整しています。
つまり、会員はコールセンターの依頼専門で営業しているのに対して、賛助会員はコールセンターからの依頼と自分で獲得した顧客の両方に対して営業できる。というのが違いになります。現在、会員ケアドライバーは6名。午前中の予約にしっかり対応するために、会員数を増やしていくことが喫緊の課題なのだそうです。
会員のメリットは安定収入と営業サポート
原田理事長が提示した会員と賛助会員のメリットを抜粋して紹介します。それぞれにメリットがありますが、WPIとしては増え続けるコールセンター依頼に専門で対応する会員の獲得を優先に考えていました。
会員のメリット
- コールセンターの仕事が潤沢にある
- 早期に安定収入が得られる
- グループで営業するため、営業活動の負担が少ない
- 運行中の電話受付、配車業務がない
- 会員同士の公平な売上分配
賛助会員のメリット
- WPIのホームページに掲載して宣伝ができる
- 自由な営業活動ができる
- 状況によりコールセンターの仕事も受けられる
- 状況によりコールセンターに配車を頼める
一般社団法人日本福祉医療輸送機構JWMTO(ジェウント)に加盟しているWPIの会員・賛助会員には、国の車両購入補助金取得支援があることと、労働災害保険に加入できるという共通のメリットがありますが、安定した収入を希望する方、営業や予約受付業務の負担を軽くしたい方は会員が合っているように思えます。
また、会員から賛助会員への種別変更も可能なので、これから開業しようと思っている方、開業して間もない方はWPIの会員から仕事をスタートしても良いかもしれません。研修カリキュラムも充実しているので安心です。
正会員ドライバーにインタビュー
コールセンター会議のあと、WPI会員で40代のケアドライバー、大熊さんと長島さんにインタビューさせていただきました。
— WPI入会のきっかけは?
大熊:
WPIの会員だった知り合いから勧められて開業することを決めました。
長島:
私は自分で開業してわりと早めに、WPIの先輩事業者から入会を勧められました。いろいろ悩みましたが、WPIが自分に合っていると思ったので入会を決めました。
— ということはいくつかほかの介護タクシーグループにも相談されたのですか?
長島:
はい。4団体から話を聞きました。そのなかでWPIに決めたのは、会員・賛助会員制度が充実していたからです。
大熊:
私は最初からWPIだけで、他は検討しませんでした。
— コールセンターからの依頼がちゃんと来るのか、不安はありませんでしたか?
長島:
いいえ。先輩事業者から状況を聞いていたので、とくに不安はありませんでした。実際すぐに月60~70件の仕事を受けられるようになりました。
大熊:
私も同じです。
— それだけ依頼が来ているということですね。会員事業者によって売上に差ができたりしないのでしょうか?例えば先輩事業者の方が配車依頼が多いとか。
長島:
そんなことはありませんよ。売上は稼働日に応じて会員で分配されるので、新人もベテランも関係なく公平に収入を得ることができます。休みも基本自由なので、自分のペースで仕事ができます。休んだらその分収入は減りますけど(笑)
— ではWPIに入会して良かったことは?
大熊:
私は前職で介護の仕事をしていたのですが、介護タクシーのことがまったく分からないうえに口ベタで…先輩方にいろいろ教えてもらえたのが本当に良かったです。
長島:
個人に予約の電話がかかってこない、仲間がいるのでひとりで背負うことがないのが良かったですね。仕事が集中しても会員同士で分散できるし、対応しきれないときは賛助会員に手伝ってもらえるので。
— 大熊さんが口ベタなのはなんとなくわかりました(笑)最後にWPIの雰囲気について感じていることをお話しいただけますか?
大熊:
みなさん親切で、良い人間関係ができています。新しい人もすぐ溶け込めると思います。
長島:
午前中の通院時間帯を中心に予約が増え続けているので、今後のために会員を増やしていこう、という思いで会員がまとまっています。会員になればすぐに依頼が来て安定した収入を確保できます。ここはアピールしておきたいところです(笑)
— ありがとうございました。
多くの方が通院の足を確保できるように
介護タクシーを利用する私たちにとって大切なのは、通院時間帯の予約がストレスなくできること。できれば1回の電話で希望の予約を取りたいものです。WPIの会員が増えることで、多くの人が通院の移動手段を確保できることを願っています。通院の移動も大切なくらしの足ですからね。
取材を終えて…
WPIは原田理事長をはじめ、会員のみなさんがとても和気あいあいとした雰囲気だったのが印象的でした。WPIの規約には「会員同士のトラブルの誘発、誹謗中傷行為の禁止」という条文があります。簡単にいうと「他人の悪口を言わない」ということです。
お互いの意見を尊重して、グループ全体の質を上げていこうというWPIの雰囲気は、ごく当たり前の約束のもとに成り立っているのだな、とあらためて感じました。