介護タクシーコラム
意外と便利!介護タクシーの救援サービス
みなさん、タクシーの救援事業というものをご存知でしょうか?「救援」というと困ったときに助けてくれる印象がありますよね。まさにその通りで、タクシーや介護タクシーが提供できる様々なお助けサービスのことを救援事業と言います。
目 次
救援事業にはいろいろなサービスがある
救援事業にはどんなサービスがあるのでしょうか?行政が定める条件のもと、幅広いサービスを提供できます。九州運輸局があげている救援事業のサービス内容を一部抜粋で紹介します。
緊急救援システム
会員宅に端末機を設置し緊急信号を発した場合に、タクシーを現場に急行させ病院等へ搬送するサービス
タクシー便利屋
病院への診察申し込み・薬取り・順番取り、買い物代行、忘れ物受取り、電球交換、100円玉両替、香典・御見舞返し代行、公共料金の払い込み、ガスの元栓確認等
110番協力タクシー
警察からの犯人情報を元に、タクシー乗務員が目撃情報を警察に通報
徘徊者検索システム
PHSを活用して徘徊者の位置を検索し、家族を徘徊者の居場所まで誘導
どれも生活に役立つサービスですよね。その中でも全国で多くのタクシー・介護タクシー事業者が導入している有料サービスが便利屋タクシーです。診察の受付、処方箋・処方薬受取、買い物代行などは特に需要の高いサービスです。
はじまりは1989年(平成元年)運輸省通達
タクシーの救援事業は届出制で、旧運輸省(現在の国土交通省)時代、平成元年6月29日の運輸省地域交通局自動車業務課長通達(地自第二四〇号)によって初めて定められた制度です。届出を行うにあたって、いくつかの条件がありました。一部をご紹介します。
- 本来のタクシー事業の遂行を妨げるものでないこと。
- 業務遂行のために走行する場合はタクシーメーターを使用しないものとし、「救援」の表示をすること。
- 営業区域は、タクシー事業区域を越えるものでないこと。
- 当該事業の営業実績を記載した報告書等を定期的に提出すること。
- 救援事業の料金は、タクシー運賃・料金とは無関係とすること。
届出は事業者の所在地を所轄する運輸支局が受け付けるのですが、事業の内容と料金をしっかり計画書に記載しなければなりません。したがって届出をしていないタクシー事業者は、救援事業を行なうことはできないのです。
それにしても「救援」表示のタクシーって見たことがないですね…。なぜでしょう。
救援事業の利用料金
買い物代行などの生活支援サービスについては、30分500円~3,000円程度で地域やサービス内容によって大きく異なります。時間貸運賃を基準に料金を定めているタクシー事業者もあります。利用前にサービス内容と料金の確認は必須です。明確な料金が出てこないようであれば、あまり利用をお勧めできません。
一般タクシーの救援事業
神奈川県生活支援ネットワーク協同組合加入タクシー会社によるQタク、三和交通(横浜・多摩・埼玉)のおつかいタクシー、仙台中央タクシー(宮城県仙台市)のタクデリ、その他便利屋タクシー、サポートタクシー、お助け隊など、全国の一般タクシーも独自のサービス名で救援事業を行なっています。
救援事業があまり知られていない一番の理由は、告知不足だと思います。また一部のタクシー会社では、実際のサービス提供体制が整っていないなど、いくつか課題があるようです。
介護タクシーの救援事業は介護タクシーの利用者が対象
福祉輸送事業限定の介護タクシーが提供している救援サービスは、誰でも利用できるというわけではなく、介護タクシーを利用できる方が対象になります。乗車するわけではないのでこの点の線引きは難しいのですが、サービスが持続するためにもルールを守ることが大切です。また介護タクシーならではの救援サービスとして、車いすの点検・修理などを請け負う事業者もあります。
介護タクシーの救援サービスを利用するには?
現在、全国的に救援事業の届出を行う介護タクシーが増えてきています。介護タクシー案内所に掲載している事業者で新たに買い物代行サービスを始めたところも少なくありません。まずはいつも利用している介護タクシーが救援事業を行なっているか、確認してください。対応しているのであれば、サービス内容と利用料金を確認、OKであればすぐに利用できます。
介護保険を利用している方は介護保険の生活援助を利用できますが、ケアプランに組み込み、サービスを提供している介護保険指定事業者と契約する必要があります。担当ケアマネジャーに相談してみましょう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、タクシーの救援事業、とりわけデリバリーや買い物代行など、外出を控えるための支援サービスに注目が集まっています。人の移動を担うタクシーが人の外出抑制に貢献する。タクシー・介護タクシーの新たな役割が見えてきます。