介護タクシーコラム
脳トレ麻雀でリフレッシュ!新しいデイサービスのかたち

ここは麻雀店なの?と思わせるこの風景。じつはここ、デイサービスなんです。日本で数少ない麻雀専門のデイサービス「ウェルチャオ」。今回は京都府向日市にあるウェチャオ西向日店の清水さんに、施設の特徴など伺いました。じつは私、デイサービスを訪問するのは今回が初めてなんです…。
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健康寿命の促進・介護予防に効果のある麻雀

まず疑問に思ったのは、なぜデイサービスで麻雀なのか?ということです。機能脳神経外科医であり、プロ雀士(麻雀のプロ)でもある東島威史(ひがしじま たけふみ)先生によると、麻雀をすることで以下のような効果が期待できるそうです。
麻雀で期待できる有効性
- 認知症の予防
- 発症してしまった認知症の症状改善
- うつ病の予防
- 記憶力向上
- 遂行機能の向上
なるほど、麻雀にはいろいろな効果があるのですね。実際に訪問してまず感じたことは、みなさんの集中力の高さでした。麻雀がこれほどまでに人を夢中にさせる理由や、他のデイサービスとの違いについて、清水さんにお話を伺いました。
楽しいからこそ、通い続けられる

ウェルチャオの利用者、はどんな方が多いのでしょうか?
【清水】介護度で言えば、平均で要介護1.6~1.7くらい、自立されている方が多いですね。男女比は7:3で、麻雀経験者が全体の94%を占めます。一般的なデイサービスでは、折り紙や歌、楽器演奏といったレクリエーションが行われていますが、正直それが楽しいと感じない方も一定数いらっしゃいます。そういった方々が、ウェルチャオを選んでくださっています。
なぜ麻雀に特化しようと考えたのですか?
【清水】ウェルチャオは、もともと全国に麻雀店を展開している会社から生まれたサービスです。お店に通っていたお客様が高齢になり、足が遠のいてしまうというケースが多く、「麻雀が好きだけど、もう機会がない…」という方のために何かできないかと考え、2018年にデイサービスとしての展開を始めました。

きれいなトイレと静養室
そうだったのですね。麻雀だけというのも納得です。
【清水】他のデイサービスでも麻雀や囲碁・将棋を取り入れているところはありますが、ここまで本格的なところは全国的に見てもほとんどないですね。当施設では、店舗と同じ全自動麻雀卓を使用しており、私を含め麻雀のプロも在籍しています。一般的なデイサービスでは、見学時に心身機能を確認しますが、当施設では麻雀の打ち方(レベル)も確認しています。
打ち方のレベル?それはなぜですか?
【清水】麻雀って、レベルの差がありすぎると、どちらにとっても面白くなくなってしまうんです。そのため、体験利用の際にレベルを確認し、どの曜日のグループが合っているかを調整して通所日を決めています。どうしても調整がつかない場合は、スタッフが相手役になります。

スタッフ3人を相手にすることも…
なるほど…。ちなみに介護タクシーを利用する車いすの方なども通えるのでしょうか?
【清水】もちろんです。施設内は完全バリアフリーで、車いすから椅子への移乗もお手伝いします。また、車いすのまま雀卓につくこともできます。現在も車いす利用の方が1名いらっしゃいますし、今後さらに多くの方に利用いただきたいと考えています。
体操や体力維持もしっかりと

ウェルチャオでの1日は、お迎え後に健康チェックや入浴を行い、その後は体操→レクリエーション(麻雀)→昼食→レクリエーション(麻雀)→体操→レクリエーション(麻雀)→お送りという流れです。清水さんによると、麻雀に夢中になって時間を忘れてしまう方もいるため、定期的に立ち上がって身体を動かすよう心がけているそうです。

大きな浴室
体操は、元体操選手の池谷直樹さんが監修したプログラムを採用しており、麻雀の合間にリフレッシュできます。また、疲れた時や体調を崩したときなどに横になって休める静養室も完備されており、まさに麻雀好きにはたまらないデイサービスです。
麻雀を通じて自然なコミュニケーションを
脳トレとしての麻雀について、あらためて清水さんにポイントを伺ったところ、以下の3つを挙げてくださいました。
麻雀が脳トレになる理由
- 指先を動かす
- 頭を使う
- 会話をする
実際に見学して、まさにその通りだと感じました。特に会話をするという点はとても良いことだと思いました。自宅に閉じこもりがちになると、自然と人と話をする機会が少なくなってしまいます。かといって、何も話題がない状態で「さあ、おしゃべりしましょう」と言っても、なかなか会話は続きません。麻雀という共通の趣味を通じて、自然と会話が生まれる環境は、本当に素晴らしいと思いました。
「好きだった麻雀をもう一度」行きたくなるデイサービス

まずは体験に来てもらいたいですね。と語る清水さん。私が感じたのは、利用者の皆さんがとても活き活きとした表情で過ごされていること。その雰囲気は、実際に来てみないと分からないかもしれません。
今回訪問したウェルチャオ西向日の送迎エリアは、京都府向日市・長岡京市・京都市(南区、西京区、伏見区の一部)になります。エリア内にお住いで、麻雀がお好きな方(要介護者の方対象)とその家族の方は、一度ウェルチャオを見学してみてはいかがでしょうか。
今後は要支援者も対象に広げて、全国展開を目指しているそうです。好きだった麻雀をもう一度。もちろん、初心者の方も大歓迎だそうです。介護タクシーのケアドライバーさんの中にも、麻雀好きの方は多いかもしれませんね。
「雀荘って暗くてタバコの煙が充満しているイメージがありました」と清水さんに言ったら、「何年前の話ですか、それ(笑)昔の映画の世界ですよ」と軽くツッコまれてしまいました(汗)。麻雀もデイサービスも初心者の私にとって、驚きの多い取材でした。…麻雀、始めてみようかな。