介護タクシーコラム
アイラスコールセンター取材
東京都荒川区にある、福祉移送ネットワークアイラスのコールセンターへおじゃましてきました。8名のコールスタッフが1都4県を中心にお客様のご要望に応えるべく、コーディネーターとして活躍している現場を取材しました。
予約状況はオンラインシステムで管理
訪問入浴、居宅介護事業所、通所介護を運営する株式会社ライフリンクスのなかにアイラスコールセンターはあります。鳴り響く電話の音、お客様との会話の声。活気のある室内は、まさにコールセンターといった雰囲気です。
コールスタッフのデスクには1台ずつPCが置かれています。独自のオンライン予約システムを確認しながら電話を受けているからです。アイラスカード(5%OFF会員)をお持ちの方はお身体の状態やご自宅の状況などを記録しているので、ご案内がスムーズにできるそうです。
依頼内容を間違えずに確認する
予約システムはアイラス加盟の全事業者とつながっていて、リアルタイムで予約の調整ができます。コールスタッフのみなさんは予約の日時だけでなく、室内介助(ベッドや布団からの移動)、階段介助の有無、その他ご希望の内容を確認して、対応可能なドライバーに配車要請をします。ドライバーが対応可能であれば、お客様に折り返し連絡をして予約完了です。
お客様とドライバーをマッチングするコーディネーター
「介護タクシーの配車は一般タクシーと違ってお客様にお聞きすることがたくさんあります。コールスタッフはお客様の依頼内容を漏れなく伺って、ドライバーに的確に伝えなければなりません。システムには頼れないコミュニケーション力が必要なんです。」
と話してくださったコールスタッフの神坂さん。お客様のニーズもさまざまなので、マニュアルを使った事前研修というよりコーディネーターとして現場で経験を積んでいく。というのが一人前のコールスタッフになるための近道だそうです。
依頼は病院・施設担当やご家族から
「配車依頼は病院・施設担当者や、付添のご家族から入ってきます。高齢者に限らず、障がい者の利用も多いです。通院通所以外の利用では観光や美容院、買い物などの利用も多くなってきているので、移送先のバリアフリー情報は担当ドライバーからフィードバックしてもらい、次回以降の対応に役立てています。」と話す神坂さん。
たまにお客様と一緒に買い物や食事したり、映画を見たりする依頼もあるそうです。細かな気配りが大切な仕事なんですね。
混み合う時間は決まっている
朝の9:00~11:00、夕方の16:00~18:00は特に混み合う時間帯。ここで迅速かつ的確に予約受付を行うことが大事。時にはお客様に時間の調整をお願いするなど、できる限り依頼を断らないよう分単位の調整をしています。予約システム上でどうしても調整ができない依頼については、各地域の配車担当者に連絡して、地域のドライバー同士で時間を調整して対応することもあります。
予約システムを使ったコールスタッフとドライバーの連携で、月間2,000件を超える配車依頼を99%カバーしているそうです。素晴らしいですね。
ライフリンクスの山田社長にお話を伺いました
アイラスコールセンターと事務局の運営を担当する株式会社ライフリンクスの山田社長にお話を伺いました。依頼が増えてきている現状にアイラスとしてどう対応していくか。今後の課題についても聞かせていただきました。
コールセンターを立ち上げたきっかけは?
10社ほどの介護タクシーが日々の営業でコールセンターの必要性を感じ、平成16年に私たちと一緒に立ち上げたのがきっかけです。手探りのスタートでしたが、現在はアイラスグループとして約160事業者、200台の首都圏最大級のネットワークになりました。
コールセンターと事務局運営の立場からアイラスの今後についてお聞かせください。
依頼件数の増加でドライバー不足の状態を改善するために、新規の加盟事業者を増やしていく必要があります。アイラスグループは開業のサポートからフォローアップ研修までグループ全体で取り組んでいます。各事業者がアイラスクオリティのサービスをお客様に提供できるよう、全員が一定のルールを守って活動しています。
月1回の地域会議では定期的に研修、勉強会を開催し、介護技術の向上に努めています。また、各事業者がアイラスのパンフレットを病院・施設に配布するなどして、営業活動も行っています。増え続ける配車依頼に対応できる体制づくり。これが一番の課題です。
取材を終えて…アイラスの強みは柔軟な対応力
予約はできる限り早めにして欲しい。でも空いていれば当日配車にも対応する。もちろん問い合わせや見積依頼に対しても丁寧に分かりやすく説明をする。
利用料が5%割引になる会員カードの発行や介助中の不測の事故に対応する賠償責任保険(すきま保険)への加入など、アイラスは利用者の安全と利便性をつねに考え、お客様の要望に柔軟に対応できる介護タクシーグループだと感じました。
恐らくここまで組織として動いている介護タクシーグループは国内にないと思います。アイラスの運営モデルが全国に広がって手を取り合えるようになれば、全国どこでも気軽にお出かけができる社会ができるはず。そう願いたいです。