介護タクシーコラム
家事代行・シニアサポートで暮らしを豊かに
横浜市の介護タクシー身介・曽我さんからの紹介で、先日(といってもだいぶ前になってしまいましたが…)家事代行やシニアサポート、ハウスクリーニングを行っている、さくらハートフルサービス(株式会社楽土舎)に訪問してきました。サービスの内容と介護タクシーを活用しているケースについて、お話しを聞いてきました。
目 次
社会福祉法人の活動から生まれた介護保険外サービス
本日お話を伺ったのは取締役で事業責任者の曽根 真也さん。株式会社楽土舎は横浜市内で約160ヶ所の介護事業所を運営している、社会福祉法人秀峰会の新しいサービスを担う会社として2000年に誕生しました。
曽根さんは当時在籍していた株式会社ヘルスアンドソーシャルケア事業団で訪問マッサージ・デイサービス・訪問歯科の立ち上げを行ってきた経験があり、介護保険制度に疑問を感じていました。介護保険ではマイナスからゼロにすることはできてもゼロからプラスにすることはできない。介護保険外サービスを地域に根付かせることでもっと明るい社会になると信じて、2015年に介護保険外サービスを開始しました。
介護保険でできることは限られるし、分かりづらい。
さくらハートフルサービスは介護保険適用外のサービスですが、介護保険で行き届かないサービスを提供しています。曽根さんは介護保険サービスの難しさを身をもって感じていました。
訪問介護で保険適用される掃除・料理・洗濯などの「生活援助」は1回の利用時間が最大30分と短く、対象も要介護者に限定され、同居するご家族にはサービスを提供できないんです。料理などご家族の分と一緒に作ることができないので、効率が悪いんです。と話す曽根さん。介護保険サービスの現場では多くの課題を抱えているのですね。
介護保険外のサービスだからこそ自由にアレンジができる。
もちろん自費利用になるので保険利用に比べると利用料金は高いです。ただシニアを中心に利用者のライフスタイル、本人や家族の事情・要望に合わせてサービス内容をアレンジできるのは大きなメリットです。
オムツ替えや入浴といった身体介助、医療行為に当たることはできませんが、その分医療や介護でカバーできないサービスを提供しているさくらハートフルサービス。例えばこんなお手伝いをしてくれます。
- パソコンの設定・インターネットへの接続
- ネットスーパーでの買い物
- 引越しのお手伝い(自宅から施設 など)
- 買い物同行・代行
- 会話や趣味を一緒に楽しむ
つい先日も小田原まで「ういろう」を買いに行ってほしいと依頼があって、その高齢者のご夫婦は息子さんが山形、娘さんがアメリカに住んでいるので、なかなか家族がサポートできなかったそうです。高齢者の一人住まい(独居)や仕事でどうしても家族がサポートできない時など、細かなことにも対応してくれるのは有難いですね。
ヘルパー養成スクールを15年運営していた楽土舎だからできること
さくらハートフルサービスを運営する楽土舎は介護に関わる研修・講座の開催も行っているので、掃除や洗濯・料理など一般の家事代行に関わるものだけでなく、介護に関わる研修・勉強会も行っているのが特徴です。シニアサポートをしっかりと行なうには、介護の知識は不可欠と考えているからです。
家事代行の研修も徹底
基本となる家事代行の研修についても、自由が丘(東京都目黒区)に研修センターを設けるなど、キャストの教育に力を入れています。シニアに限定せず幅広い年代にサービスを利用してもらえるよう、スキルアップを図っています。
介護タクシー事業者と連携して行なう外出支援
さくらハートフルサービスではシニアサポートの一環として、近所のお散歩や買い物同行などの外出支援と、介護タクシーを使った移動のサポートも行っています。
高齢者の困りごと解決にお互いが連携
介護タクシーを利用した外出支援の活動例は以下の通りです。日常の利用から余暇を楽しむための利用まで幅広いですね。
- 通院同行
- コンサート・観劇
- 日帰り旅行
- 冠婚葬祭の付き添い
- 趣味のための移動
鉄道模型が趣味の方を介護タクシーで鉄道模型店まで送迎することもあるそうです。通常はさくらハートフルサービスから介護タクシー事業者へ依頼することが多いのですが、反対に介護タクシー事業者からお客様の付き添いや家事代行の相談・依頼を受けることもあります。
「つながり」で独居の方の孤独感・不安感を解消したい
曽根さんは事業の目的・意義について、こう語ってくれました。
食事や買い物、掃除など日常生活の家事代行を通じて独居の方へ、心のこもったあたたかいサービスを提供することで、孤独感や不安感を解消したい。そこから地域で暮らす人たちとの「心と心のつながり」を広げていきたい。
AI・ロボット化が進む社会で、便利さと引き換えに人と人が実際に会って触れ合うことは少なくなっていくでしょう。そこから本当の「つながり」は生まれるのでしょうか?曽根さんの言葉が私にそう問いかけているように思えました。
介護や高齢者に関わるサービス提供者が利用者のニーズに応えるために足りないパーツをお互いに補完していく。さくらハートフルサービスが介護タクシーを活用する背景には「高齢者の困りごとを解決したい」という思いがありました。サービス提供者の連携を広げるということは、利用者の利便性向上のためにとても重要なことなのですね。