ドライバーインタビュー
介護福祉タクシーイーケア・サービス 黒川さん
札幌で介護福祉輸送のキャリアが20年近くの大ベテラン。介護福祉タクシーイーケア・サービスを運営する一般社団法人ユアーネットの代表理事 黒川さんにお話を伺いました。介護タクシー案内所のことを知って「ぜひ一度会ってみたかったんだよね。」と非常に有難いお言葉をいただきました。
4時間近く熱く語ってくださった黒川さん。私(編集部担当)との意外なつながりもあって話が盛りだくさんのインタビューになりました。
目 次
民間患者輸送車を見て介護タクシーの必要性を感じた
介護タクシー事業を始められたきっかけを教えてください。
まだ介護保険法が施行されていない頃、自分の車の前を走る民間患者輸送車を見て「この車は何をする車なんだろう?」と思い、その事業者に問い合わせてみました。そこで民間患者輸送というものを知り、これからお年寄りがどんどん増えていき、移動するための車が必要になる、と感じました。私はその民間患者輸送事業者のもとで10年間勉強して、その後一般社団法人ユアーネットを設立しました。
福祉車両と出会ったのがきっかけだったんですね。お年寄りが増えてくるということも、その当時実感として何か行動を起こす人も少なかったのでは?
そうですね。私はバスの免許も持っていましたし、なによりも人生最大の先輩方であるのお年寄とのかかわりが大好きだったこともあり、他の方より比較的早く介護福祉輸送の勉強をはじめました。開業前の1年間は、介護タクシー事業者団体の指導員として開業希望者への支援と介護技術のポイントについてレクチャーしてきました。
経験豊富なスタッフと種類豊富な福祉用具
イーケア・サービスの特徴を教えてください。
医療搬送に特化しているところが特徴ですね。もちろん日常生活や観光などのご利用もありますが、通院や転院、市内外への長距離移送など、経験豊富なスタッフがしっかりと対応していますので、他の事業者さんでは対応しにくい搬送を受けることが多いです。
民間患者輸送乗務員と介護タクシー指導員としての経験の賜物ですね!
医療搬送に関わる部分でもありますが、福祉用具専門相談員の資格を活かして、利用者に最適な機材を選定しています。在庫も豊富にありますので、どのような状態の方にでも対応できます。あとは北海道内の福祉タクシー券以外に、タクシー組合やクレジットカード事業者が発行している一般のタクシーチケットも使用できるのが大きな特徴です。
病院・施設との連携を大切に
用途は転院・通院がメインとおっしゃっていましたが、割合はどのくらいでしょうか?
だいたい7~8割が転院・通院・入退院、あと救急車帰りの利用ですね。残りの2~3割が冠婚葬祭、買い物、観光などの利用です。有名演歌歌手のコンサートで貸切なんてこともあります。土日祝の利用が多いですね。
利用者に便利で快適に使っていただけるように工夫されていることを教えてください。
先ほどお話ししたようにその方の体型や用途に応じて車いすなどの機材を選定することですね。これだけ色々な方が利用されるのに車いすが1台のみでは合わない方もいらっしゃるはずです。あとは病院や施設との連携を大切にしています。多くの病院・施設間の移送を担当していると、自然と病院・施設の状況が分かるようになり、担当の方(ケアマネジャー、ソーシャルワーカーなど)との関係が深くなっていきます。
そういった細やかな連携が利用者とのコミュニケーションの中で活きてくるので、とても大切にしています。
「やっぱり家がいいな」といっていただけるサービスを
利用者とのエピソードで印象に残っていることを教えてください。
移送先の病院で、バスを待っている方がなんとなくお困りの様子だったので「どうしましたか?」と声をかけたことがあるんです。その時はお手伝いをした後に簡単な自己紹介をして別れました。それから3年後、驚いたことに病院を通じてその方から依頼があったんです。
ストレッチャーで転院の依頼だったのですが「やっと黒川さんの車に乗れた」とおっしゃっていただいた時は、この仕事をやっていて良かったと心から思いました。
3年間ずっと覚えていてくれたなんてすごいですね!きっと病院や施設でのお仕事ぶりを見ていたのでしょう。
私たちは介護福祉移送のプロとしてサービスの中身を濃くするため、自分のために毎日勉強しています。初めてご利用いただく方には大きな不安のひとつ、料金について丁寧に説明します。そして1回使っていただいた時に料金に見合うサービスだったか、お客様に判断していただき、次もイーケア・サービスを選んでいただけるよう努力しています。
病院や施設から無事にご自宅に帰られた時「やっぱり家がいいな」と言っていただける。そんなサービスを提供していきたいです。
人が好き。介護タクシーの仕事が好き。
札幌市内で事業者間のネットワークを持たれているとか。
はい。介護タクシーは通院時などに需要が集中して車が足りなくなる時があります。そういう時に信頼できる事業者と連携して移送の引き受けを行うことで、利用者がお困りになることがないよう気を付けています。
今後は同じクオリティーでサービスを提供できる仲間とグループを作って、コールセンターを作りたいと思っています。
最後に利用を検討されている方へメッセージをお願いします。
私たちはモノを売るサービスではなく、気持ちと技術を提供するプロの車です。1回目のご利用で料金に見合うサービスだったか、お客様自身で判断していただいたいです。私たちはプロであると同時に、人が好きで介護タクシーの仕事が好きな人間の集まりです。
イーケア・サービスはスタッフ全員「やっぱり選んでよかった」と思っていただけるサービスをご提供する気持ちと技術を持っています。ぜひ一度ご利用ください。
介護タクシーという仕事のこと、業界のこと。書ききれないほどお話を聞かせていただきました。黒川さんはとても明るい方で、いろいろお話ししているうちに、私が以前勤めていたアパレル系の会社で働いていて、なんとほんの少しですが同じ時期に所属していたということが分かり、世間は狭いなぁと盛り上がりました。
雪解けの北海道は膨張と収縮を繰り返したアスファルトに穴があき、道路の状態も非常に悪いのですが、黒川さんは「技術があるから大丈夫!」とおっしゃっていました。次回はぜひ車に乗せていただきたいです。そして札幌地区の介護タクシーコールセンター設立、期待しています!